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薬学モニタリング現地研修が終了

2014年10月17日
ハノイ国立栄養院(NIN)で開催された現地研修『食品中の残留アンピシリン検出法コース』が終了しました。NINのDr.Dungと大阪大学原田講師が、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による食品に残留するアンピシリンの検出方法を、NIN、ニャチャンパスツール研究所(PINT)とホーチミン公衆衛生研究所(IPH)の研究者と検査技師、合計11名へ5日間かけて普及しました。普及した検出法方は、共通プロトコルとしてマニュアルに まとめられ、各機関が残留アンピシリンのモニタリング活動に活用することになります。

NINのLam副所長と大阪大学・原田先生から修了書を受領する参加者

  

おさらい 検査手法のステップ概要

◇STEP 1 試料の調整
市場で採取した魚、豚肉、鶏肉、エビを切り刻み、さらにミキサーでペースト状に均質化します。また、今回は研修員の検査技能をチェックする為に、敢えて目的成分(今回はアンピシリン)をペーストに添加しました。

  

◇STEP 2 抽出
調整した試料に溶媒を加え、目的成分を抽出します。その後、遠心分離で沈殿物を取り除き、抽出液を回収します。

 

◇STEP 3 誘導体化
HPLCの検出器が目的成分を検知できるよう、別の化合物を加え、分子構造を変えます。今回は、蛍光検出器に応答するようアンピシリン分子構造を変換します(誘導体化)。

 

◇STEP 4 標準品(スタンダード)の作成
あらかじめ成分と量が決まっているアンピシリン標準溶液を作ります。この標準溶液の検査結果と比較することで、実際の試料に含まれるアンピシリン量を推測します。

 

◇STEP 5 注入と分離、検出
試料をHPLC装置に導入します。試料は、HPLCの流路内に注入され、筒状カラム内に流し込まれます。試料に含まれる様々な成分が、カラム内でそれぞれ固有の速度で流れていきます。その結果、アンピシリンが肉や魚に含まれる成分と分離されます。カラムから流れ出た成分は蛍光検出器に到達します。本実験ではアンピシリンが放つ特定波長の蛍光を検出します。

 

◇STEP 6 結果出力
蛍光検出器が検知した蛍光強度(Y軸)、経過時間(X軸)を示すグラフ(クロマトグラム)がパソコンに出力されます。アンピシリンがカラムから流出する時間に現れるピークの面積値を、標準溶液の結果と比較することで、資料に含まれるアンピシリン含量を計算します。

◇STEP 7 検査の妥当性を検証
検査精度は、ペーストに自分達で添加した量に対する検査値の比率(回収率)を用いて評価します。回収率が100%に近ければ良く、極端に低い場合は検査手順に問題があったことが疑われます。

 

◇STEP 8 検査手順の文書化
各研究機関が同じ検査手順でアンピシリンを測定できるよう、プロトコルを文書化します。

 

研修後フォローアップが大切!
  原田先生から各機関の検査環境でプロトコルをしっかり検証するよう依頼。

 

研修結果をNIN副所長へ報告するDr.Dung。Lam副所長から閉会の挨拶。

 

講師のDr.Dungと原田先生、5日間、お疲れ様でした。二人のチームワークで研修は大成功!