国費外国人留学生インタビュー
2013年からカントー大学のMs. Tran Thi My Duyen(ズェン)研究員が、大阪大学大学院薬学研究科の博士課程に留学しています。ズェンさんは、文部科学省国費外国人留学生制度(SATREPS枠)注で選抜された留学生であり、大阪大学で抗菌性物質の検出技術の開発と研究をしつつ、博士号取得を目指しています。ズェンさんが以下のとおりインタビューに答えてくれました。
▲大阪大学で実験するズェンさん |
Q1 日本の生活は如何ですか?
A1 『日本の生活は今のところ良好です。朝7:30には起床し朝食を食べ、お昼と夜のお弁当を作ってから大阪大学のラボへ通っています。他の研究生と同じく、朝9時か9時半にはラボに入り、コーヒー1杯で更にエネルギー充填し、実験開始です。実験が終われば帰宅です、いつも夜8時、それより遅くなる時もあります。』
Q2 研究テーマは何ですか?
A2 『私の研究テーマは、抗菌性物質を検出するためのバイオセンサーの設計・開発です。バイオセンサーは、細胞や酵素、抗体などの生物材料と検出素子から構成される分析装置です。抗菌性物質の種類はたくさんありますが、中でも、ベトナムにおいて乱用されているサルファ剤と簡便な検出方法が無いアミノグリコシド系抗菌性物質に焦点を当てています。サルファ剤用バイオセンサーについては、大腸菌で発現させたいくつかの組み換えタンパク質を、センサー素子として活用することにより、構築を試みています。また、アミノグリコシド系抗生剤用バイオセンサーに関しては、細胞を用いない転写・翻訳反応によりレポーター遺伝子を合成するシステムを利用することにより構築しています。』
Q3 大阪大学の実験室では、毎日どのようなことをしてますか?
A3 『実験と実験結果の解析を毎日繰り返しています。それ以外には、実験がうまくいかない時には実験手順のチェックや文献を読み原因を探り、さらに次の実験を計画します。毎週月曜日に松浦先生とディスカッションをし、私の進捗報告、問題点、次の計画を報告しています。いつも松浦先生からは、より良い結果が出るための貴重なコメントを頂いています。私が実験で壁にぶつかると、松浦先生が時間を割いて、私と課題解決法をディスカッションしてくださり、先生の貴重なお時間とご助言には、いつも感謝しています。』
Q4 日本で博士号を取得後、ベトナムに戻ったら何がしたいですか?
A4 『博士号が取れカントー大学に戻ったら、ここで得た研究成果を発展させ、サルファ剤とアミノグリコシド系抗菌性物質が環境中だけでなく加工食品に残留しているかどうか、モニターできるバイオセンサーを構築したいです。』
Q5 最後にひと言お願いします。
A5 『私が博士課程をスタートして以来、常日頃からご支援と研究指導をいただいております平田教授と原田先生、松浦先生に深く感謝しています。また、本制度を通じて、留学の機会を与えてくださったカントー大学のNguyen Thanh Phuong教授に感謝しています。最後に、大阪大学大学院博士課程への留学をご支援いただいた本SATREPSプロジェクト及び文部科学省など日本政府へも感謝しています。』
研究発表するズェンさん |
注:文部科学省国費外国人留学生制度(SATREPS枠)とは、国立研究開発法人科学技術振興機構及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構が実施する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム」(以下「SATREPS」という)が連携し、日本側の参加大学が相手国・地域の機関から優秀な留学生を獲得するとともに、相手国・地域との持続的な研究交流・ネットワークの強化を図ることを目的とする制度。