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招へい外国人長期研究員インタビュー

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本プロジェクトのカウンターパート機関の一つであるハノイ国立栄養院(NIN)から1名のベトナム人理化学研究者が、大阪大学大学院 薬学研究科(応用環境生物分野)で博士号取得を目指して長期研修をしています(2014年4月~2017年2月)。研修員のNugyen Van Sy(シィ)さんが、以下のように日本での研究の様子を報告してくれました。

▲大阪大で実験するシィさん

Q1  日本では、どのような日常生活を送っていますか?

A1  『日本での生活は順調です、JICAや日本の先生から多くのサポートを受けており、特に、大阪大学の平田先生と原田先生に大変お世話になっています。通常、大阪大学へ9時頃登校して、私の研究論文に関連する実験をしています。朝食は自宅で、昼食は実験室の同僚たちと学食で食べます。実験が終わると、帰宅し、家で自炊し、12時ころ就寝しています。』

Q2 研究のゴール、メインテーマは何ですか?

A2 『私の研究ゴールは、蛍光HPLC(高速液体クロマトグラフィー)装置を使い、食肉中に残留する抗生物質ペニシリンの検出方法を開発することです。この解析手法を確立するために、多くの実験をこなし検証しつつ、食肉サンプルの抽出条件、誘導体化の条件、HPLC装置の条件などを最適化しなければなりません。実験が終わるたび結果をまとめ、原田先生へ報告相談し、先生からコメントをいただき、次の実験に取り組んでいます。』

Q3 現時点の研究成果は?

A3 『良い実験結果が出てきてますが、まだ学会ポスター発表や口頭発表までには至っていませんので、近いうちに研究成果をまとめ、国際学会誌に投稿したいと思っています。』

Q4 日本で博士号を取得後、ベトナムに戻ったら何がしたいですか?

A4 『大阪大学で博士号が取れたら、所属先のハノイ国立栄養院の研究職に戻ります。日本で得た知見を応用し、また研究を継続し、本プロジェクトが構築している食品中の残留抗菌性物質のモニタリング・モデルの持続と、さらなる発展に貢献したいと思っています。』

共同研究者からメッセージ(大阪大学大学院 薬学研究科 原田和生先生より)

『シィさんは蛍光HPLCによるβラクタム抗菌性物質をモニタリングするために必要な解析手法を研究しています。彼はいつも多くのサンプルを準備し、パラ メータを検証し、詳細にHPLCプロトコルを評価しています。彼は、早朝から夜遅くまで、時には休日でも一生懸命取り組んでおり、彼の努力と高いモチベー ションには頭が下がります。彼は、最初の論文に着手し始めたところで、当研究科の博士課程の一貫としてプレゼン発表をする予定です。きっと成功してくれる 思いますし、彼と一緒に研究している日本人学生たちも同じ想いのはずです。彼は周りから好かれる人柄です。きっと、ベトナムに残してきたお子さんが寂し がっていると思いますが(息子さんと私の娘の歳が近いので良くわかります)、息子さんは彼を尊敬しているはずです。また、彼はベトナムの将来の食品安全を 担う、理化学分析のパイオニアになってくれると信じています。原田和生』

大阪大からNINへ進捗報告するシィさんと原田先生(Web会議)