「高度先導的薬剤師の養成とそのグローカルな活躍を推進するアドバンスト教育研究プログラムの共同開発」事業における主な5プログラムについての事業報告

1、高度医療人キャリア形成教育研究推進プログラム

本プログラムでは、医療人としての高い倫理観と使命感、卓越した研究能力を修得し、最先端の医療や創薬研究を主導できる高度先導的薬剤師として、先進医療や高度学術研究・高度医療薬学研究、トランスレーショナルリサーチやレギュラトリーサイエンス、臨床疫学研究、さらには医療行政・薬事行政を指導的な立場で担うことができる薬学研究者や薬剤師の養成を目指す。このプログラムは、本事業の5つの主プログラムの中で、他の4プログラムを開発・実施するための基軸となるものである。
参画大学においては、すでに第2期中期目標期間中に実施した「先導的薬剤師養成に向けた実践的アドバンスト教育プログラムの共同開発」事業において、6年制学部及び4年制大学院博士課程の教育研究プログラムの充実を図っており、本事業はその発展的な継続、さらにはこれらを基盤とする新たなプログラムの開発と実施が期待される。
6年制薬学部及び大学院博士課程の教育研究における「高度医療人キャリア形成教育研究推進プログラム」については、国公立大学の優れた物的、人的リソースを十分に活用することによって実施する。本プログラムとしては、学部については、長期課題研究において最先端の研究に主導的に取り組むことにより、研究倫理に基づいた自己規制の中で優れた研究能力の修得を図る高度課題解決型教育プログラムや、高度長期課題研究プログラムが推進すべきプログラムとして挙げられる。大学院博士課程については、高い倫理観と卓越した研究能力を身に着け、独創的な研究により世界をリードできる人材を養成する高度大学院教育研究プログラム、さらにはスーパ-薬学博士養成アドバンストプログラムが挙げられる。一方で、学部あるいは大学院の在学中に、行政機関や関連企業の第一線において実践的で高度なマネジメント能力とリーダーシップ、さらには汎用力の修得を図るアドバンストインターンシッププログラムも有用である。

事業参画大学間の連携プログラムとして実施したものには【連携】を付した。各プログラムの成果については、実施大学のホームページ等に詳細が記載されている。なお、プログラム名に(*)を付したものについては別添の資料が提出されている。これらについては、本事業のホームページの資料あるいは各実施大学のホームページ等でご参照いただきたい。また、参画大学からの事業報告の中で、本事業の主な5つのアドバンスト教育研究プログラムとしても報告があるものについては、プログラム名と簡単な概要を取り上げた。


2、国際医療薬学教育研究推進プログラム

本プログラムでは、高度な薬学専門性・研究力に加え、柔軟な俯瞰力、領域を超えた創造力を修得し、国際的な創薬研究や医療の発展に指導的な立場で貢献できる高度先導的薬剤師として、グローバルな視野・立場で国際的な研究機関や医療機関、行政機関での活躍や、学際融合・分野横断型研究の推進ができる薬学研究者や薬剤師、さらには世界の生命科学研究、薬学研究をリードする薬学研究者や薬剤師の養成を目指す。
参画大学においては、すでに第2期中期目標期間中に実施した「先導的薬剤師養成に向けた実践的アドバンスト教育プログラムの共同開発」事業において、6年制学部及び4年制大学院博士課程の教育研究プログラムの充実を図っており、本事業はその発展的な継続、さらにはこれらを基盤とする新たなプログラムの開発と実施が期待される。
6年制薬学部及び大学院博士課程の教育研究における「国際医療薬学教育研究推進プログラム」については、国公立大学における豊富な国際的な教育研究交流、特に欧米等の最先端の生命科学研究を実施している機関・大学との交流実績を基盤として実施する。実践的語学教育プログラム(共通)をもとに、学部については、国際学会への参加、学生自主学修としての海外研修・インターンシッププログラム、大学院博士課程については、アドバンスト国際共同研究プログラムによる海外研究機関や大学における研究活動の実施が挙げられる。


3、グローバル健康環境教育研究推進プログラム

本プログラムでは、グローバルな医療人としての広範かつ高度な専門性と高い使命感、領域を超えた汎用力を修得し、国際的な保健衛生・公衆衛生に指導的な立場で貢献できる高度先導的薬剤師として、文理協働による国際的な医療活動や、発展途上国における感染症予防や食・環境の安全確保、さらに国際的な保健衛生の課題解決や発展途上国での保健衛生・医療教育に貢献できる薬学研究者や薬剤師の養成を目指す。
参画大学においては、すでに第2期中期目標期間中に実施した「先導的薬剤師養成に向けた実践的アドバンスト教育プログラムの共同開発」事業において、6年制学部及び4年制大学院博士課程の教育研究プログラムの充実を図っており、本事業はその発展的な継続、さらにはこれらを基盤とする新たなプログラムの開発と実施が期待される。
6年制薬学部及び大学院博士課程の教育研究における「グローバル健康環境教育研究推進プログラム」については、国公立大学における豊富な国際的な教育研究交流、特に東南アジア等における感染症対策などの保健衛生・公衆衛生上の課題や環境問題、食糧問題といった健康環境に係る研究を実施している機関・大学との交流実績を基盤として実施する。本プログラムとしては、グローバルな視点での実践的なコミュニケーション能力を修得する実践的語学教育プログラム(共通)から、学部及び大学院博士課程における国際保健衛生・公衆衛生教育研究プログラムや文理協働型発展途上国健康環境インターンシッププログラムといった発展途上国を中心とした海外における教育研究活動の実施が挙げられる。後者については、SDGs達成に向けた実践的フィールドワークなどが有用である。


4、地域薬学人材養成教育拠点形成プログラム

本プログラムでは、国公立大学が全国8地区(北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中・四国、九州・山口)における薬学人材養成教育を担う拠点として、地区内の大学及び医療関連機関との有機的な連携体制を構築し、これに基づいた学部・大学院における薬学人材養成教育の高度化・実質化、社会人教育・社会貢献活動の充実、改訂モデル・コアカリキュラムに対応した実務実習の実施体制の整備を行うことにより、地域における医療の充実・発展を推進する。
本プログラムは他の4プログラムとは異なり、本事業で国公立大学が開発・実施している教育研究プログラム等の地域さらには全国での推進を目的とするものであり、前事業の「先導的薬剤師養成アドバンスト教育プログラム」の地域への普及や、地域医療の高度化に向けた連携教育研究事業、例えば文部科学省・課題解決型高度医療人材養成事業等の企画・推進、全国的な普及が挙げられる。これまで国公立19大学は、全国8地区においてそれぞれ地域の病院や薬局との連携のもとに、薬学実務実習を主導し、また地域医療の発展を担ってきた。本事業では、こういった連携体制と実績を基盤として、薬学人材養成教育を担う拠点の構築と教育研究プログラムの普及・定着による推進を目指すものである。


5、地域医療教育研究推進プログラム

本プログラムでは、全国8地区において、国公立大学を拠点とした地区・地域内の大学及び医療関連機関との有機的な連携によって、社会のニーズに応える高度な地域医療を担うことができる高度先導的薬剤師として、地域の福祉医療・保健衛生を主導し、大学・地域連携による先進的地域医療を担うことができる薬学研究者や薬剤師の養成を目指す。さらに、多職種連携によるチーム医療・地域医療教育を担う実務実習指導薬剤師や臨床系大学教員の養成を目指す。
参画大学においては、すでに第2期中期目標期間中に実施した「先導的薬剤師養成に向けた実践的アドバンスト教育プログラムの共同開発」事業において、6年制学部及び4年制大学院博士課程の教育研究プログラムの充実を図っており、本事業はその発展的な継続、さらにはこれらを基盤とする新たなプログラムの開発と実施が期待される。
6年制薬学部及び大学院博士課程の教育研究における「地域医療教育研究推進プログラム」については、これまで国公立19大学が全国8地区(北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中・四国、九州・山口)において、それぞれ地域の病院や薬局との連携のもとに主導してきた薬学実務実習の実施体制や地域医療発展へ貢献してきた実績を基盤とし、また本事業の「地域薬学人材養成教育拠点形成プログラム」において構築した薬学人材養成教育拠点を基軸として実施する。本プログラムとしては、地域の医療機関や病院、薬局、他大学との連携による、高度先導的薬剤師養成において重要な優れた臨床能力の養成に必要な地域医療教育を主導できる指導薬剤師研修プログラムや、自大学卒業生・修了生をはじめ社会で活躍する薬学人材のキャリアアップや専門性の高度化を可能とするアドバンストリカレント・アドバンスト生涯教育プログラム、学部生や大学院生の地域医療への関心を高め実践的な臨床能力の向上を図る地域医療アドバンストインターンシッププログラムの実施が挙げられる。




「高度先導的薬剤師の養成とそのグローカルな活躍を推進するアドバンスト教育研究プログラムの共同開発」事業における主な5プログラム以外の教育研究活動についての報告

本事業に参画している国公立19大学においては、それぞれの教育理念や教育研究上の目的に基づいて、三つの方針のさらなる高度化・実質化を図り、これに沿った高度先導的薬剤師の養成に取り組んでいる。本事業は、国公立大学の薬学部及び大学院博士課程における基盤的な教育研究プログラムを推進するものである。したがって、参画大学において、本事業の目的と同様の高度先導的薬剤師の養成に向けて、本事業以外の文部科学省等の省庁や学術振興会等の助成事業や、大学独自に物的・人的リソースを活用することによって取り組む教育研究プログラムについても、各大学の裁量に任せて、このような取組の実施に係る規定に反しない範囲で、上記の本事業の5つのアドバンスト教育研究プログラムの一環、あるいは本事業の連携あるいは共同事業として位置づけ、実施することとした。したがって、以下の本ページにおいては、このような事業については事業名を明記して、報告を記載している。

以下、参画大学の判断により、本事業の主な5つのアドバンスト教育研究プログラム以外の教育研究活動として実施したプログラムや取組、あるいは5つのアドバンスト教育研究プログラムには含まれるものの、別に特徴あるプログラムや取組として取り上げたものについて、その事業報告を行う。

なお、事業の主幹校である大阪大学において実施したアドバンスト教育研究プログラム等の取組は、事業運営に関わるものもあるので、別途項を設けて報告するものとする。

事業参画大学間の連携プログラムとして実施したものには【連携】を付した。各プログラムの成果については、実施大学のホームページ等に詳細が記載されている。なお、プログラム名に(*)を付したものについては別添の資料が提出されている。これらについては、本事業のホームページの資料あるいは各実施大学のホームページ等でご参照いただきたい。また、参画大学からの事業報告の中で、本事業の主な5つのアドバンスト教育研究プログラムとしても報告があるものについては、プログラム名と簡単な概要を取り上げた。

1、各地区(全国8地区)で他大学や病院・薬局実務実習地区調整機構、薬剤師会、病院薬剤師会等との連携によって実施された教育研究活動

2、学部卒業者、大学院博士課程修了者と連携した教育研究活動及び卒業者、修了者を支援する教育研究活動

3、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に合わせた教育研究活動あるいは学部教育・大学院教育の質を向上させるための独自の教育研究活動
(組織・教育課程の改編、カリキュラム改訂、実務実習の実施体制・内容の変更等)

2019年度~2021年度は、2019年に国公立大学薬学部長(科長・学長)会議のもとに設けられた国公立大学薬学6年制教育研究検討委員会における以下の検討事項に関連する取組について情報共有を図るために、個々の課題に関する取り組み状況を質問した。
(1)モデル・コアカリキュラムに準拠した教育の在り方
(2)実務実習実施体制
(3)文科省令改正への対応・入試改革への対応
(4)第三者評価への対応
(5)共用試験の在り方
(6)大学院博士課程における教育研究の在り方
(7)臨床研修制度
(8)その他