活動成果

2019.02.20

活動成果

【報告】岡山大学 見学研修

日程:
2019年2月20日(水)~2019年2月21日(木)

研修先:
東和薬品、理化学研究所、武田薬品京都薬用植物園、田辺三菱製薬史料館、公益財団法人 武田科学振興財団杏雨書屋他(道修町ミュー ジアムストリト)

概要:
本研修プログラムでは、幅広い「知」を備えた研究型薬剤師(Pharmacist-Scientist)や企業研究者・開発の育成を目的として、薬学生が製薬企業や研究所における業務の実情や薬学系教員のキャリアパスを学ぶことのできる研修セミナーを実施した。本プログラムにおいては、国内屈指のジェネリック医薬品企業である東和薬品、世界最先端の研究施設の理化学研究所、多種様な天然医薬資源とその活用を体験できる武田薬用植物園、そして、日本の医薬品産業発祥地である大阪道修町の医薬史料館(田辺三菱製薬史料館並びに武田科学振興財団杏雨書屋等)を訪問し、普段学生が触れることのできない貴重医薬史や革新的医薬品の開発の経緯を学ぶ機会を設けた。また、学生が大学における研究・教育業務とその使命等に関して理解を深める機会を提供すべく、薬学系若手教員の研究・教育に関するキャリアパスを紹介するセミナーを開催した。

実施した感想:
世界最先端の科学研究や、我が国の医薬産業の成り立ちと医薬史に関する知識は、先導的薬剤師が備えるべき素養のひとつであり、こうした素養の涵養をもたらす実体験は、ひいては幅広い「知」を備えた医療人の育成に資することになる。多くの学生の感想に示されているように、上記の趣旨に沿った本研修プログラムは、薬学に関連する幅広い知識を備えることの意義を学生に理解させるとともに、創薬研究の発展への貢献を目指す使命に対する参加学生の意識の高揚に結実したに違いない。また、今回の見学研修において開催した若手教員による研究・教育歴の紹介とディスカッションは、参加学生が自らのキャリアパスにおける将来像を描く良い機会となったと考える。

参加学生の感想:
①東和薬品工場見学では、実習行った製剤試験がそのまプロセスに導入されていること驚た。また、講義で学んだけの製剤プロセスを実際に見て理解できたのよかった。SACLAやSpring-8の見学でも同様に、講義で紹介だけ終わった装置の実際の応用例を知ることができた。武田薬品工業の薬用植物園は岡山大学のそれと比べてはるかに大きな規模で驚いた。また、植物園案内のみと思ってが、薬研の体験や紫雲膏作りの体験もできたのでより楽しめた。史料館では、田辺三菱製薬の歴史だけでなく、江戸時代の製薬や、西洋医薬品への転換などといった、製薬全般の歴史も学ぶことができ、とても勉強になった。

②今回の研修旅行で一番興味深かったのは東和薬品工場の見学でした。製
剤学で学んだことを実際に目で見てみると思っていた以上に多くの人の手が入っており、長い時間がかかっていることが分かりました。レーザーによる印字が一瞬で施される様子を見ていると、技術というものは本当に進んでいるのだなと感じました。思っていた以上に印象はよく、色々な質問に答えてくださり、将来の参考として活用したいと思います。
武田薬品の植物園への道のりが長く、ヒールではあの距離が少し痛かったことが難点でしたが、軟膏作りや植物の観察は面白く、特に味覚を使った体験が面白かったです。恐らくギムネマだと思うのですが、とある植物の葉を噛んで、その後に砂糖を舐めても甘味を感じなくなるという経験をさせていただきました。口の中で溶ける感覚はあるのに甘さを感じないというのは不安になってしまうと思います。疑似的な味覚障害の経験のようで参考になりました。薬研を用いた粉末を作る作業をさせていただきましたが、思ったよりも力が必要で、機械の無い時代の薬作成は重労働だったのだろうなと感じました。セミナーでの藤吉先生のお話は興味深く、少し研究生活に不安を覚える内容でしたが、貴重な体験談を聞くことが出来て良かったと感じました。今後、この研修旅行で得たものを活用出来たら良いなと思います。

③非常に有意義であったと考える。東和薬品の製薬工場見学では、機材がどのように動いているのかを見て、とても感心した。特に錠剤に印字する工程で、バラバラに流れてきているのを高速で認識して印刷していくのがすごかった。後々工学の友人に聞いたら、おそらくエッジ検出で位置を特定しているのだと言っていた。災害時の製造やジェネリックならではの工夫があって、興味深かった。SPring8 や SACLA の構造自体は授業で習っていたが、施設の大きさは実際行くことでしか感じることが出来なかったと思うので、見学出来てよかった。薬用植物園では実習ではまだ軟膏は作ったことがなかったので、今回体験出来てよかった。様々な薬用植物を実際に食べて、香りや味を知れたのは良い経験になったと思う。また、薬研体験は今後やる機会もあまりないと思うので、今回できてよかった。想像以上にきれいに粉末状になって、昔の知恵はすごいと感じた。史料館では、日本の薬の歴史を知ることが出来て、非常に良い経験になったのではないかと思う。

④1箇所目の東和薬品では、ジェネリック医薬品の開発過程についての話を聞き、製造工程の見学をさせていただいた。恥ずかしいことに今までジェネリック医薬品についてあまりはっきりと知らなかった。この見学を通してジェネリック医薬品についてちゃんと向き合えたことは大きな収穫だった。医薬品製造工程についても製剤学で教科書の図だけを見て学んだことを実際にこの目で確かめられたため良い経験になった。
2箇所目の理化学研究所放射光科学研究センターでは SACLA と SPring-8 の施設内見学をさせていだいた。1 年生の時に物理化学でこの施設の話を聞いたことがあるが当時は原理が難しく、なんの役に立っているのかよく分からなかった。2 年経った今も少し原理が難しいと感じるが、「原子など非常に小さいものを見るための巨大な顕微鏡」として産業や医学の発展に大いに貢献していることが漸く理解出来た。世界には同様の顕微鏡が複数あるが日本にあるものが最もコンパクトに出来ているということで、日本の技術力の高さが伺えて日本人として誇らしかった。
3箇所目の武田薬品京都薬用植物園見学では生薬の元となる薬用植物の見学、漢方薬の試飲、軟膏作り体験をさせていただいた。生薬学の授業では度々先生が薬用植物の一部を学生に回したりすることがあったが今回は授業では習わないようなハーブや熱帯植物まで見ることが出来た。また植物の豆知識も紹介してくださったので非常に勉強になった。特に絶滅危惧種や生薬の値段に関しては授業では一切教わらなかったため興味深かった。最後に回った田辺三菱製薬史料館では薬の歴史を学んだ。歴史については
3 年間で一切授業などでは触れられなかったため全く知らなかった。製薬企業は昭和に入ってから設立されたものだと思い込んでいたが実際は江戸時代から始まっていたそうだ。日本は古い時代からずっと薬に携わってきたからこそ、今の高い技術力があるのだと思う。
この見学研修は非常に有意義なもので、参加して心から良かったと思う。最後になりましたが、このような機会を与えていただき誠にありがとうございました。

⑤現場で従事なさる職員の方々の様子を実際に見学することや職員の方から
直接説明を受けることで、研究形態や現場での工夫など座学だけでは理解できない側面に触れることができた。また、職員の方が親切な受け答えをしてくださり、説明も丁寧でわかりやすかった。史料館の見学では、企業の生い立ちなどについて説明を受け、創始者の方の薬を通して社会へ貢献しようとする思いやそれを受け継ぎ守り続ける企業の在り方に感銘を受けた。医薬品を通して医療に従事する者として、見習うべき点を多く感じ、自身を鼓舞する契機となった。プログラムを通して、企業を見学することで研究者として企業に従事することに対してより一層の興味を抱いた。いかなる職に従事することになったとしても医薬品の知識を有する者として将来的に社会貢献できるよう、座学や研究室での生活に前向きに取り組み未来に生きる経験を積んでいきたいと感じることのできた今回のプログラムは自身の将来にとって有意義なものであったと思う。

⑥今回の見学研修は自分にとって有意義なものになりました。薬に関して
様々な観点から知ることができ、またそれらはとても貴重な経験になりました。中には見学研修に参加したことでさらに関心を持ったこともあり、それを基に他にも色々なことについて調べてみようと思いました。
 この見学研修を通して自分が一つ反省しなければならないと思ったの が、質問ができなかったことでした。訪問した施設、機関で案内してくださった方々は非常に丁寧に説明をしてくださったのですが、それに対して質問することができず、自分の思考力、コミュニケーション能力、知識の不足などの欠点を改めて知りました。そういう点でも今回の見学研修は自分を見直す機会としても良いものであったと考えています。
 今回の見学研修に参加することができて良かったと感じています。見学研修に関係してくださった方々、本当にありがとうございました。

⑦医薬品の製造ラインや薬用植物園、資料館など、通常では見学することの難しい製薬企業の施設を見学することができ、大変貴重な体験ができた。特に、トランスポーターなどの構造解析にも応用されている SPring-8 とSACLA の見学は、その施設の大きさに驚くとともに、大変勉強になった。シャンプーなどの身近な商品の研究開発から、世界的影響を与えた研究まで、広い分野の研究に使用されている施設であるということを知り、実際に 研究を行っている施設内を歩けたことは、とても興味深い体験であった。また、1日目の夜のセミナーでは、先生方の学生時代の研究室生活のお話を聞くことができた。将来、大学で研究を続けることも選択肢の一つに考えているので、実際に大学で研究をされている先生方から、研究室生活などについて忌憚のない意見や激励の言葉をいただけたことは、今後の大学生活の大きなモチベーションとなった。
2日間で、普段の講義・実習とは異なる学びや、自分の将来について考える機会が得られ、有意義な研修であった。

1東和薬品にて.jpg

2理化学研究所にて.jpg

3武田薬品京都薬用植物園にて①.jpg

4武田薬品京都薬用植物園にて②.jpg

5田辺三菱製薬医薬資料館にて.jpg

6研修セミナー風景.jpg