活動成果

2019.02.02

活動成果

【報告】岐阜薬科大学 「薬学生に必要な経営戦略とマネジメント」ワークショップ

日程:
平成31年2月2日 ~ 平成31年2月3日

研修場所:
岐阜薬科大学 本部 第2講義室および実習室

参加者:
岐阜薬科大学
教員6人、事務職員1人、学生4人(5年生)
名古屋市立大学薬学部
学生3人(4年生1人、5年生2人)

概要:
●平成31年2月2日(土)
9:15~開会の挨拶 寺町ひとみ
9:20~10:20 基調講演「BSCの構造と作成ステップ」:赤瀬朋秀(日本経済大学経営学部・大学院教授)
10:20~12:20 
グループワーク「自分たちの薬局におけるSWOT分析の試み」:赤瀬朋秀・井口恵美子
12:20~13:20 昼食・休憩
13:20~15:20 グループワーク「クロス分析と戦略課題の抽出」:赤瀬朋秀・井口恵美子
15:20~16:00
グループワーク「優先度の高い経営課題の選定(二次元展開法)」:赤瀬朋秀・井口恵美子
16:00~16:30 参加者による中間発表 赤瀬朋秀
16:30~16:45 ショートレクチャー「戦略テーマの抽出と戦略マップの構造」:井口恵美子(横浜市立みなと赤十字病院薬剤部 副薬剤部長)
16:45~17:00 講評:赤瀬朋秀 閉会の挨拶:寺町ひとみ
18:00~20:30 情報交換会
●平成31年2月3日(日)
8:55~9:00  開会の挨拶:寺町ひとみ
9:00~9:30  講義「戦略マップ作成のポイント」:赤瀬朋秀
9:30~11:10 グループワーク「戦略マップの作成」:赤瀬朋秀・井口恵美子
11:10~12:10 昼食・休憩
12:10~12:20 講義「スコアカード作成のポイント」:井口恵美子
12:20~15:20 グループワーク「スコアカードの作成と目標値の設定」:赤瀬朋秀・井口恵美子
15:20~15:50 参加者による発表:赤瀬朋秀・井口恵美子
15:50~16:05 講評:赤瀬朋秀 閉会の辞:寺町ひとみ

実施した感想:
今回、学生グループ7人、教員・事務職員グループ(附属薬局で勤務している)7人の2グループに分けて研修を行った。薬学生が学部生の時に、経営戦略について学ぶことは、これからの薬剤師にとって、必要であると考え企画した。すでに米国やドイツなど諸外国では、薬学部に経営学のカリキュラムが導入されている。これからの薬剤師は、常に、経営戦略を視野に入れてマネジメントしていくことは重要である。
今回の研修を受ける前に、参加者全員が「バランスト・スコアカード作成の基礎知識」のテキストとそのDVDによる予習をしてから、本研修会に臨んだ。そのため、赤瀬先生の「BSCの構造と作成ステップ」に関する講義はスムーズに受け入れることができた。続いて、各々のグループに分かれ、実際にSWOT分析、クロス分析、二次元展開法、戦略マップを作成した。最後にスコアカードも作成することができた。
学生の感想からも伺えるように、今回の研修会は、大変興味深く、また、じっくりとディスカッションができ、大変満足度の高い研修であった。日ごろ使わない脳をフル回転したように感じた。終了後には、疲れはしたもののさわやかな達成感を得ることができた。
岐阜薬科大学と名市大薬学部の学生が、ディスカッションし、協力することによりプロダクトを作成することができた。両大学の学生の交流が深まり、大変有意義な研修会であった。

参加者の感想:
①まず、本研修を通してBSCを用いた分析、戦略・アクションプランの策定に関する知識の獲得が達成されたことは言うまでもないが、さらに新たな課題を見出した事を研修成果としたい。グループワークのなかで客観的な視点から保険薬局が抱える様々な課題を抽出し、戦略テーマ毎にアクションプランを明確にした。薬剤師として何が求められ、何をすべきかという存在意義の証明に留まらず、何がしたいか、何をするかという主体的な行動計画が結果的に前者に繋がることを学んだ。そのような姿勢での取り組みを今後の課題としたい。

②今まで、薬局の収入を増やすためにできることと言われて思いつくことといえば、現行の調剤報酬にしたがって加算を取る、ということくらいでした。今回このセミナーに参加して、保険薬局が収入を増やすには、現行のものに追従しているだけでは遅く、保険調剤に対して金銭を支払う“顧客”である行政が公開している情報から今後保険薬局として要求されるものを読み取り、先取りして対応していく必要があるということを知りました。はじめて経営と言う視点から保険薬局を見ることで、今まで考えたことのなかった事柄について知り、考えることができ、とても良い経験になりました。

③ 経営についてほとんど知識がなく理解できるか不安だったが、経営の専門家である赤瀬先生から多くのアドバイスをいただけたので、実践的に学ぶことができた。また、経営と薬物療法は似た点があると思った。
二次元展開法など一部の手法は大学で経験していた。しかし、手法の意図を知ることで、より有効に利用することができたと感じられた。
 私以外に研修に参加された学生は、皆さん実務実習を終えられた方達だったこともあり、経営戦略について具体的に考えられていた。私も実務実習後にこの研修に参加させていただいた方がよかったかと思ったこともあった。しかし、経営に関する理解を深めたことで、その視点を用い実務実習をより有意義なものにできる、とも考えられる。研修の学びをまずは実務実習に活かし、将来は医薬品の適正使用に貢献したい。

④グループワークではリーダーに任命され、議論を進行させていく役割を担当した。私がリーダーとしてグループに働きかける際に心がけたことは、“なるべく反対意見を聞きだすこと”と“すべてのテーマで皆から自分の口で意見を言ってもらうこと”である。合意形成を得るためには意見のぶつけ合いが一番早いと考えたためである。これが成功したのは、メンバーがほぼ同じ学年で、対等な立場にあったためだと考える。じっくり考えなければまとまらないようなときは、十分時間をとった上で“どのような観点で考えているか”を聞くように心がけ、みんなで考えを共有することができた。
今回、学生自主学修プログラム「薬学生に必要な経営戦略とマネジメント」に参加し、特にグループのリーダーとして関わることが出来たことで、合意形成が得られる過程の面白さに気づくことが出来た。
最後に、私がこのプログラムに参加する前に掲げた目的については、
①勤務先の施設の強みや弱みを知ること
②調剤報酬改訂など刻々と変化する外部環境に敏感でいること
を心がけ、患者さんのため、勤務先の施設のために貢献できる薬剤師として働きたいと思う。

⑤今回のインターンシップに参加することで薬局経営というものが少しは自分の中で整理できたと思います。
事前に配布された資料に目を通したときに、SWOT分析など始めて耳にする用語ばかりであり下調べをして臨みました。そのため、講義の内容を理解することができました。実際にはグループワークを行う時間が多く、岐阜薬科大学の学生の方達とディスカッションをしながら進めていきました。学生なので本当の現場を知りませんでしたが、今までの知識や実習等の経験を基にした議論をみんなで活発に議論できた思います。経営についての研修であったので金銭的な話が多いのではと思っていましたが、実際は今後必要になる医療は何であるかを追い求めることに経営戦略の近道があると学びました。このことが私の中の一番の印象であり、経営においてもプロフェッショナルな医療人であり続ける必要があると感じました。
岐阜薬科大学の寺町先生や講師の赤瀬先生を始めとする様々な先生方に、このような機会を設けて頂いたことを感謝しています。この度は本当にありがとうございました。

⑥1日目の感想としては、SWOT分析では公開情報の中から恣意的ではない、数字で示せるデータや比較対象があるデータを探すだけでも時間と労力を使うものだと実感した。また、出そろったデータが薬局経営に関連があるかどうか判別を行う際、自分では関連がないと思っていたデータでも関連づけられるということを学ぶことができて、マクロな視点を養っていこうと思った。クロス分析では自分の考えを端的に言葉にすることが難しい/苦手であるということに気づかされたので、これをきっかけに言葉のインプット、アウトプットを増やし、語彙力を強化していきたい。二次元展開ではこれから必要とされると薬剤師像、自分が目指す薬剤師像と向き合える良い機会となった。
2日目の感想としては、戦略マップ作成は成功へのストーリーを可視化するステップだったが、各課題を表す一文を理解し裏を読み込まないと、どの視点に相当するのか判断が困難であった。スコアカードでは成果尺度を設定する際、目先に現れる先行尺度と後からついてくる遅行尺度の把握ができているかが鍵となるかを学んだ。真に達成したい目標は何かという軸をはっきりさせておかなければ、尺度やアクションプランも大きく変わってくるため、ここで1日目の作業の大切さを改めて認識できた。
2日間を通して、参加目的としたマネジメントや教育の現場における方針決定のための思考の素地を身につけるためのヒントを得られた。今後、今研修で学んだ思考プロセスを自分なりに使用することにより、自らの将来を見据える上で有益なツールとして活用していきたい。

⑦今回の研修では、BSCを利用し、経営戦略を考えることで、今までとは全く違った視点を持つことができ、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。赤瀬先生の講義の中で、働くひと全員が幸せになれる経営戦略を立てなければならないとおっしゃっており、とても感銘を受けました。全員にとって良い経営を行うというのは、可能なのか疑問に思っていたのですが、今回の分析法では、様々な視点から問題点等を見つけ出して、目標や今後どう動いていくべきか、ということを客観的にも主観的にも考えることができており、とても驚きました。また、グループ全員で発言し、全員の意見が反映されている点が大変素晴らしいと思いました。将来、薬剤師になった際にも、今回学んだことをぜひ生かしていきたいと思います。

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