活動成果

2018.08.06

活動成果

【報告】富山大学 南カルフォルニア大学薬学部における臨床実習研修(3大学合同開催)

日程:
2018年8月6日~2018年8月17日

研修先:
南カルフォルニア大学薬学部

参加校:
富山大学・京都大学・名古屋市立大学

概要:
南カルフォルニア大学のMichael Wincor 教授のコーディネートのもと研修プログラムが実施された。
1.アメリカの臨床薬学教育と実務実習
2.アメリカの薬学部生の生活
3.他の健康・医療系学部の見学
以上のような導入教育の後、専門的な実践薬学教育が開始された

4.精神疾患患者におけるメンタルスコアをもとにしたSOAPの記載方法。
5.患者との対話の仕方
6.うつ病患者に対する薬物療法
7.うつ病患者でのケーススタディ
8.地域のコミュニュティーファーマシーの見学
9.がん専門病院の薬剤師業務の見学

実施した感想:
アメリカでは、皆保険制度が整っていないため、患者それぞれが医療を選ぶことを学生は実感できたようである。日本との医療の差、あるいは、薬剤師業務の差を感じたことで、今後、自分達がどのように日本の医療、あるいは、薬剤師に関連した仕事を変えていくかをイメージできたたようである。加えて、2週間にわたり、3国公立大学の学生と勉強だけでなく、寝食も共にし、今後とも、コミュニュケーションをとることで、切磋琢磨していくことも期待できる。

参加した学生の感想:
①本研修を通して、アメリカでは薬剤師の業務内容が日本に比べて多岐に渡り、専門性が色濃く発揮されていると感じた。特に、薬剤師による避妊薬の処方やPT-INRの測定によるワーファリンの服薬管理に関しては、少子高齢化や避妊薬の違法販売が懸念される今日の日本においても導入が期待される制度であり、アメリカの薬剤師制度には見習うべき点が多いと痛感した。本研修で得た内容を踏まえ、今後は臨床薬剤師として多角的視野から医療薬学に携わり、薬学業界の更なる発展に貢献したい。

②アメリカだけでなく、韓国、中国の薬学教育、大学生活や薬剤師について学ぶことができ、よい経験になった。大学においてボランティア活動を盛んに行っていたり、医療関係の学生団体が多くあり活発に活動していたりするのが日本とは異なり、見習っていかなければならない点だと感じた。日本での薬学教育は研究に重きを置いているが、アメリカ、韓国、中国においてはより臨床に特化した教育が行われている点が大きく違い、興味深かった。患者さんとのカウンセリングやSOAPの書き方などは日本と大きくは変わらなかったが、日本の病院で見たものと比べassessment, plan に重点をおいており、薬剤師が積極的に治療にかかわっていく姿勢を感じられた。

③他大学と薬学教育について交換したり他国の学生と話したりする機会は普段ほとんどない上に、アメリカという文化自体が自分にとって初体験だったので、全てが新鮮で非常に充実した2週間でした。行く前は全てが英語の授業を聞いて理解できるのかという不安はありましたが、現地の先生やTAの学生たちが親切だったので何度も助けられました。プログラムで学んだことのうち、日本と異なる薬学教育や学生連盟、服薬指導など印象的で勉強になる点はいくつもありましたが、それよりも何よりアメリカ人のフレンドリーさという国民性の違いが自分にとって最も衝撃的で印象に残っています。これは実際に現地に行かないと感じられなかったことなので、今回のインターンは今後の人生にも関わりうる非常に有益な視点を与えてくれたと思っており、心より感謝しています。

④留学中は毎日が新たな経験の連続であり、すべてをここに記すことは難しいが、その中でも特に2点、今回の留学に参加したからこそ得られた経験があった。
1点目は米国での薬剤師の実像を直接学べたことである。病院で実際に働く姿は講義等で学ぶよりはるかに多くのことを気づかせてくれた。中でも日米の大きな違いはテクニシャンの存在と感じた。日本では薬剤師が担当している仕事の多くをテクニシャンが行うことに驚いた。薬剤師はテクニシャンの業務の確認と患者への説明が中心だと説明を受け、より効率的な業務体系が構築されていることを感じた。日本でも薬剤師の業務が変化していく中で、米国のシステムを取り入れることも一つの選択肢であるのではないかと感じた。
2点目は海外の薬学生との交流である。共に学んだUSCの学生や、韓国、中国の学生の存在が、今回の留学をより実りあるものにしてくれた。講義は先生との対話が中心であり、積極的に発言することが求められたが、その際に海外の学生の積極性に驚かされた。基礎となる英語力はもちろん、積極性も日本の課題だと痛感した。さらに様々な国の薬学生がいたことで、国毎の治療や制度の違いが浮き彫りになり、より奥行きの深い議論ができた。
2週間という短い時間だったが、このプログラムでしかできない貴重な経験をすることができた。今後薬剤師として働く上でこの経験を活かしていきたいと強く感じた。

⑤アメリカの医療保険の制度が日本とは違うという事や、日本に比べて薬剤師の地位が高く、その役割についても異なる部分があるという事を聞いたことがあったため、かねてよりアメリカの医療制度や薬剤師に対して興味を持っていました。そのため、今回の研修は私にとって非常に学ぶことの多い有意義な2週間となりました。
研修を通して、日本では認可されていない薬物について触れる機会があったり、薬局において希望した患者さんと薬剤師がカウンセリングをするためのスペースが用意されていたり、日本では知ることのできないようなことをたくさん学習することができました。また、同じプログラムに参加していた韓国や中国の学生とコミュニケーションをとる機会にも恵まれ、英語も堪能で非常に積極的な彼らとの交流を通して、自分にはない発想に気づかされるなど刺激を受けました。
今後実習や勉強をしていく中で今回の研修で学んだ内容を糧にしていきたいと感じました。留学も海外へ行くことも初めてだった私にとって、今回の研修は他国の人々との交流も含め非常に貴重な経験をすることができました。
研修をさせていただくに当たりお世話になった先生方、関係者の皆様に深謝いたします。

⑥ 今回私は南カリフォルニア大学において約2週間の臨床薬学研修に参加させて頂きました。私は先輩からこのプログラムについて話を聞き、海外で薬学の講義を受けられることに興味を持ち、ぜひ参加したいと思っておりました。主な講義内容としては、SOAPの記載方法、精神疾患に関する薬物療法と医薬品、服薬指導の方法、症例を用いた適切な医薬品の選択及びそれに関する討論などがありました。特に印象的だったのは服薬指導で伝えるべき点の多さです。日本よりはるかに多くの情報を患者に伝えることを知りました。その理由として、セルフメディケーションが日本よりも進んでいること、日本ほど保険制度が発達していなくて自己責任の意識が高いということがあると感じました。また、ここまでの服薬指導をする時間は日本にはなく、アメリカにはテクニシャン制度があること、病院から処方箋をFAXで送られ調剤が終わってから患者が来ることがそれを可能にしています。このようにアメリカの薬剤師業務の良いところだけでなくそれを可能にする背景なども総合的に学ぶことが出来ました。他に韓国と中国の学生も参加していたため、医療や薬学教育についてはそれらの国のものに関しても知ることが出来ました。
 また、何より英語の重要性、話すことの楽しさにも改めて気づくことが出来ました。海外の学生達と英語で話すことでお互いの国の言語を知らなくてもコミュニケーションが取れることに感動しました。しかし同時に思っていることをうまく伝えられなかったり、講義などを度々聞き取れなかったりと自分の未熟さにも気付けました。これを機会にもっと積極的に外国人と交流し、英語の勉強に力を入れたいと思います。
 短い期間でしたが、多くのことを学べた充実した期間でした。この経験を将来に活かせるよう大事にしたいと思います。
 最後にこのプログラムに関わってくださった皆様方に深く感謝申し上げます。

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