活動成果

2018.08.08

活動成果

【報告】広島大学 米国薬学部臨床実習研修

日程:
2018年8月8日~9月16日

研修先:
College of Pharmacy Mercer University, University of Tennessee College of Pharmacy, St. Jude Children’s Hospital, LeBonheur Children’s Hospital, Walgreens Pharmacy, Good Shepherd Pharmacy, Madison Pharmacy, Regional One Health Pharmacy, Methodist University Hospital, Memphis Veterans Affairs Medical Center, Kaiser Crescent Center, Atlanta Medical Center, Pool’s Pharmacy

概要:
今回の研修では、参加学生の国際感覚の醸成を図るとともに、国際社会においても活躍できる薬剤師を育成することを目的として、テネシー大学(8月13日-9月6日)、マーサー大学(9月11日-14日)がホストとなって行われた各大学薬学部の臨床実習や講義、および各地域の病院・薬局薬剤師業務の研修に参加した。研修をうけるだけでなく、日本の薬学教育および病院薬剤師の役割についてのプレゼンテーションも行うなど、活発な意見交換も行った。また、テネシー大学における研修では、他国からの学生や臨床薬剤師も同じ研修に加わることによって、米国のみならず、その他の国の薬剤師教育や臨床業務についても議論できたことが特徴として挙げられ、今回の研修では、タイ国からの薬学部生2名、病院薬剤師2名、およびアイルランドからの病院薬剤師1名と共に研修を行い、かつ交流を深めることができた。マーサー大学では、薬剤をグミに溶解して調製する作業など、体験型の研修も含まれていた。

実施した感想:
両大学における研修では、実地視察のみならず、担当者に対する質問機会も多く設けられ、活発な議論ができるようにプログラムされていた。これら研修を受けることによって、米国での薬剤師教育・業務への理解が深まったことに加えて、参加学生の英語能力の向上にもつながったと思われる。また、米国のみならず多様な国の薬剤師に係る現状を知ることができ、参加学生のグローバルな視点を養うことにも大いに寄与したものと考えられた。

参加者の感想:
①アメリカの大学での授業や実習に最も興味をひかれた。実際に行ってみると、かなりレベルが高く、臨床に重きを置いている印象だった。臨床実習に行く前の学生もラボ毎に症例検討の話し合いを行っていたり、教員に見られながら病室などを再現している部屋で患者さんとのやり取りを練習したりと日本では見られない光景を多くみることができた。臨床実習中であるP3、4の学生について病室を回り、教授に担当の患者さんの体重や血圧、様々な検査値、今の状況、今後どのようにしていくかを報告している様子を見学し、とても刺激を受けた。自分が今まで思っていた薬剤師の役割とはかなり違っており、医師の役割だと思っていたようなことを薬剤師の学生がこなしていた。医療チームの他職種との関係がすごく対等であるとこのような実習を通して最も感じた。ほとんどの薬学生は臨床実習の一環として薬局等でアルバイトをしており、しかも薬剤師とほぼ一緒の業務を経験できるという話も聞き、とても驚いた。このように、アメリカでは日本とは重点の置き方がかなり異なったプログラムで教育されていることを知り、また体験することができ、とても良い経験になった。

②この研修の中で最も印象に残ったところは、Madison pharmacyでした。Madison pharmacyは、薬代を安くするためにコンパウンディングを多く行っていました。日本の薬局実習では、既製品の外用剤や散剤の混合は実際に行いましたが、トローチやクリーム、子ども用の薬にはフレーバーをつけたり、動物用の薬など、様々な薬を自分で混合して作っていることに驚きました。
また、私が一番画期的だと思った器具は外用剤を入れるボトルです。底の部分をひねると中身がでてきてそのまま患部に塗れるようになっていて、手を汚さずに薬を塗ることができます。この器具はぜひ日本でも使えるといいなと思いました。
他にもいろいろな病院などを見学して、薬剤師の仕事において患者さんや他の医療従事者とのコミュニケーションがとても重要であることが再確認できました。また、以前より自分の意見や疑問に思っていることを人に伝えられるようになったと思います。この経験を生かして、患者さんの意思や状況をしっかりとくみ取り、積極的に行動できる薬剤師になれるよう努力していきたいと思います。

③プール薬局では、リフィル処方薬の管理は薬剤師間で共通のカレンダーを用いて行っていました。また、手を汚さずに塗布できる軟膏やクリームの容器もありました。このように日本には無いものを見ることが出来ました。また、案内して下さった教員や薬剤師の方々はどなたも親切かつ丁寧に教えてくれたので、英語による説明でも理解しやすかったです。
研修全体を通して感じた事は日本とアメリカの医療の大きな違いは保険制度の違いによるものだという事です。アメリカでは個人が任意で異なる保険に加入しており、保険により使える医薬品や医療機関なども異なっており診療費も高額になりやすいと教わりました。研修後もアメリカの保険制度については更に詳しく学びたいと思いました。また、タイやアイルランドからの留学生達と食事を楽しんだり、研修の内容を教え合ったりして、とても良い交流を持つ事が出来ました。
アメリカで得た経験は将来必ず役に立つ貴重な経験だと思います。
今回の留学に参加する事が出来て本当に良かったと思っています。ありがとうございました。

テネシー大学薬学部長と研修参加者.jpg

テネシー大学在宅医療実習施設.jpg

テネシー大学薬学部棟.jpg

マーサー大学での研修.jpg

薬局の調剤室での説明風景.jpg

薬局で行っている予防接種のワクチンの資料.jpg

外用剤のボトル.jpg

薬局で作られているトローチ剤.jpg