【報告】熊本大学 一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センター・薬局研修

2026.04.21

【日 程】2025年11月6日(木)~7日(金)
【研修先】・一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センター
     ・株式会社大賀薬局
【参加者】熊本大学生:10名 名古屋市立大学生:2名 合計12名
     随行教職員  :1名
講 師 :4名

【概 要】 
 医療の革新的な進歩により、多様な新規がん治療法が開発され、がん患者が様々な治療戦略の中から最適な治療法を選択できる時代になりつつある。本研修では、薬剤師の観点から最新のがん治療の動向・現状を把握し、個々の患者に最適ながん治療を実施するための知識を習得することを目的とし、がん治療における最先端の陽子線治療を実施している「メディポリス国際陽子線治療センター」のご協力のもと、下記の通り研修を実施した。
【講演会】
・荻野尚 先生(センター長):センターの概要説明・陽子線治療の原理
・本田一文(日本医科大学):膵癌のバイオマーカーの開発・実装化
・湯之前清和 先生(事務局長):センターにおける薬剤師の役割
・持留隆伸 先生(センター薬剤科):薬剤師によるキャリアパス
(先輩薬剤師の立場から参加学生との意見交換会)

【施設見学】
・陽子線照射回転ガントリー治療室・患者処置室での陽子線治療デモ
・患者専用宿泊施設紹介(メディカルリゾート【HOTELフリージア】)
【株式会社 大賀薬局・薬局見学】
・中熊先生・井上先生・江崎先生による薬局見学、薬剤師像の意見交換

【実施した感想】
2017年度から継続して本研修を実施しているが、薬学コアカリキュラムでは学べない最新のがん治療の現状に触れ、本年度も学生達にとってとても有意義な時間となったと思われる。本年度は、膵癌のバイオマーカーの開発・実装化に関する特別講演も開催し、最新の治療に加え、がん治療全般において薬剤師に求められる知識、薬物治療のエキスパートとしての役割を認識するとても貴重な機会となったと思われる。また、先輩薬剤師のキャリアパスに関する講演・意見交換、加えて、株式会社大賀薬局の薬局見学では、他大学の学生間で自身の目指す薬剤師の将来像について議論する機会もあり、学生のモチベーションも向上していたようである。
 最後に、メディポリス国際陽子線治療センター・株式会社大賀薬局の先生方、そして、特別講演の日本医科大学の本田一文先生には、多大なるご支援・ご協力を賜り誠にありがとうございました。本研修にご協力いただいた全ての皆様に対して、この場をお借りして感謝申し上げます。

【参加学生の感想】
➀2025年11月6・7日に行われた「メディポリス国際陽子線治療センター・薬局研修」に参加し、陽子線治療の特徴、幅広い薬剤師業務について知り、また最先端の薬局を見学した。
萩野先生の講演では、陽子線治療の特徴について学んだ。放射線治療は、放射線照射に伴うDNA障害により細胞増殖を不可能にすることで癌治療を行うもので、いかに正常細胞に障害を与えないかが副作用を減らすために重要である。X線と比較して、陽子線治療は優れた効果があり、人体への影響や晩期障害・放射性誘発がんが少なく、治療後のQOLが高いというメリットがあることを学んだ。また、実際に陽子線治療を行う治療室や装置も見学させていただいた。陽子線治療では直径7mのシンクロトロンで陽子線を発生させ、直径10mの回転カントリーで患者に360度方向から照射することができることを知り、装置の巨大さにとても驚いた。陽子線治療は他の放射線治療に比べメリットが多く、保険適用も拡大していることから、陽子線治療が更に適用拡大し、現在治療法のないがんにも新たな治療法の選択肢の1つとなるのではないかという期待感を持った。また、治療中患者が宿泊することができるホテルに今回宿泊したが、部屋からの景色の綺麗さや砂蒸し、豪華な食事に感動し、リゾート滞在型医療の素晴らしさを実感した。
湯之前先生の講演では、陽子線治療に伴う副作用である口腔粘膜炎を軽減するための取り組みが紹介された。副作用による患者のQOL低下という問題を解決するため、薬剤師が医科歯科連携を進め、疼痛緩和のための薬であるエピシルの保険適用拡大に貢献された。また、造影剤の副作用を減らすため、飲水確保のためのウォーターサーバー設置を提案したり、ステロイド前処理の改善などの様々な取り組みを聞き、薬剤師は薬を処方する以外にも医療現場の様々な問題解決に貢献できることを知り、薬剤師業務の幅広さを実感した。
本田一文さんの講演では、膵がんマーカーの発見の経緯について話を聞くことができた。新たながん早期発見手法の活用により、二次予防(がん検診)の推進に繋がることを学び、研究の重要性を知ることができた。
2日目の持留さんの講演では、持留さんの様々な薬剤師業務を知ることができた。持留さんは薬剤師として働いているが、同時に漢方薬を用いたサポーティブケアの研究も行っていた。さらに、現在大麻使用が増加しているため、少しでも子どもの被害を減らすために学校薬剤師として薬物乱用防止の公演も行っていた。薬剤師としての業務に留まらず、研究や学校薬剤師など幅広い業務を行っていることに感銘を受け、自分もこのような人材になりたいと思った。
大賀薬局では機械化された最先端の薬局現場を見学することができた。ピッキングや液剤調製、散剤の一包化などの様々な作業が機械化されており、時間短縮された分を対人業務に当てることができ、また機械化により調剤ミスも減らすことができることを知った。さらに、薬剤師における対人業務の内容とそのために身につけるべき能力も知ることができた。
今回のメディポリス研修で、今まで知らなかった新しい知識や視点を大きく広げることができ、参加して良かったと感じた。
今回の研修で得られた知見・感想を以下の5点に分けて記述する。
(1) 粒子線治療の現状:粒子線治療の特筆すべきメリットは侵襲度の低さ、QOLの良さ(*基本的には外科手術と同程度だが、前立腺がんにおいては明確に粒子線の方が優れていること)にある。もとより放射線治療は他の療法に比して侵襲度の低いものではあるが、粒子線治療はブラッグピークの利用により高効率の腫瘍選択性を実現できている。また、陽子線であればその軽さを生かして患者個々人に最適な方向から照射可能であり、重粒子線であれば生物学的効果の大きさを生かして短期間での治療が可能となる。直感的には、照射口ではなく患者の方を回転させることで、重粒子線も陽子線と同様に最適な方向からの照射が可能なようにも思えるが、物事はそう単純ではないようだ。
メリットだけでなく、課題も多く存在する。最も大きな課題は治療施設の少なさであろう。現在、日本には粒子線治療を行うことのできる施設が26か所しか存在しない。世界的には比較的多い方ではあるが、例えば九州であれば佐賀県と鹿児島県に各1施設ずつしか存在しない。また、大抵の施設は交通アクセスも良いとはいえない。故にこそ後述するようなメディカルリゾートが重要になってくるわけだが、全国的には治療へのアクセシビリティがまだまだ低いと言わざるを得ないだろう。粒子線治療施設の新造には膨大な金額と広大な土地が必要であるため、この課題は今後しばらく残存し続けると予想される。それに加えて医療費の問題もある。粒子線治療の費用は約300万円であり、保険適応の範囲はまだ狭い。今後適応範囲が拡大されていくとしても、国民の負担は大きくなるかもしれない。諸々を考慮すると、粒子線治療が人口に膾炙するにはもう少し時間がかかりそうだ。とは言え、学術的には非常に興味深い先進医療の一つである。PBCTや免疫チェックポイント阻害剤併用時のアブスコパル効果増強など、粒子線治療に関連する研究の動向には注目していきたい。
(2) メディカルリゾートの有用性:メディポリス国際陽子線治療センターの最大の特徴は、メディカルリゾートが併設されていることにある。正直なところ、研修に赴く以前にはその価値を正しく認識できていなかったが、メディポリスにおいてこのリゾートホテルが併設されていることは極めて有用だと感じた。このメディカルリゾートの有用性は複数の要素が関連することで成立している。まず大前提として、先述したように粒子線治療の侵襲度は低く、患者の生活を強く拘束するようなものではない。したがって、患者に入院の必要は無く、通常は治療の度に通院するのが妥当である。しかしながらメディポリスのような粒子線治療施設は大抵アクセスしにくい場所に存在する。実際、メディポリスは鹿児島市内から電車で1時間ほど移動し、更に車で15分かかる山上に存在する。メディポリスを利用する方の多くにとって、治療施設の傍で宿泊できることの有用性は想像に難くない。さらにメディポリスが位置する指宿市は温泉で有名な観光地であるため、治療ついでの観光を可能にするという意味でもリゾートホテルは便利だ。また、メディポリスに特徴的な治療法として乳がんの陽子線治療が存在しており、この治療法に対しても宿泊施設が有用となっている。この治療においては乳房を固定する器具を利用するが、その器具の取り外しには水が必要となる。つまり、治療後に温泉に入浴することで、その器具を効率よく外すことが可能になっている。これらの有用性は、メディポリスにおける治療患者数の多さに直結しているのかもしれない。公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団の公開している資料(https://www.antm.or.jp/information/clinic/file/ryuusisen-kanja_2024.pdf)によると、メディポリスは他の施設よりも比較的多い治療患者数を示しているようにも思える。当然ながら、各地の人口分布や医療充実度等も考慮しなければ正確なところは評価不能だが、実際に現地に赴いた身としては、患者目線でメディカルリゾートの併設は非常に有難いことだと感じられた。しかし、がん治療患者と温泉との相性に関しては懸念点もある。粒子線治療においては化学療法との併用も想定されるが、そのような患者が温泉を利用するとなると、免疫抑制による患者の易感染リスク、および非患者の抗がん剤暴露リスクを考慮せねばなるまい。基本的に温泉の利用者は患者とその家族などが主であるとは言え、これらに関する情報提供が少し物足りないような印象は感じた。
(3) 薬局における機械導入の在り方:てらわき薬局城西においては、薬局における対物業務の大半が機械によって自動化されていた。今年私が実習に赴かせていただいた薬局でも単純な分包作業や軟膏の混合は機械が担っていたが、今回の研修では全自動水剤分注機や散薬調剤ロボット、BD Rowa™ システムによる医薬品全自動管理を初めて目にすることができた。たかだか数か月の実習を経験しただけの身ではあるが、薬剤師にとってこれらの機械は非常に便利なものであると思われる。特に水剤や散剤の調整は通常であれば1人の薬剤師を一定時間拘束してしまうものであり、この作業を完全に機械が代替してくれることのメリットは計り知れない。また、24時間自動払い出しシステムが患者と薬剤師の双方にとって非常に有用であることは自明である。機械の有用性を認識できたと同時に、いくつか見えてきた課題もある。まず大抵の機械に通じる問題点として、取り扱い可能な品目数の制限が挙げられる。仮に私が実習に赴いた薬局に貯蔵されていた医薬品全種を機械にストックさせようとすると、機械が何台必要になるのか途方も付かない。もちろん一部を機械にストックできるだけでも有用ではあるが、てらわき薬局城西のように小規模であるか、取り扱う医薬品の種類が限定されている薬局でなければ効果的な運用は厳しいだろう。それに加えて、そもそも機械を配置するスペースの問題もある。機械本体を置くスペースは当然としてコンセントの数や位置も考慮せねばならず、BD Rowa™ Pickup Semi-Outdoorは店舗外壁面に設置せねばならない。すでに営業中の薬局に後から機械を導入することは極めて難易度が高いだろう。また、実運用的な面では、散薬調剤ロボットに溜まっていくデッドストック対策として高頻度で散剤を機械に詰める作業が必要になるだろうし、処方箋受付枚数の多い薬局ではBD Rowa™ システムが律速段階になってしまう(複数の薬剤師が薬品棚から手動で集める方が明らかに速い)ことも考えられる。
以上の諸々と導入費用を考慮すると、そう単純に機械導入を礼賛できるわけではないのだろうと感じた。
(4) 地方医療の今後について:メディポリスにおける研修では地方における人材の少なさを強く感じた。近年は「薬剤師の総数が飽和に向かっている一方で、地方での薬剤師数が足りていない」という話もよく耳にするが、薬剤師だけでなく医療に携わる人材が十分ではないということを感じさせられた。本研修中の講演会にて、メディポリスにおける薬剤師業務は実質的に持留氏のワンマン体制だと伺った。それはまだよい。人材が多いに越したことは無いが、過剰なのもまた問題である以上、ワンマンでも問題なく薬剤師業務がこなせているのであればよい。しかしながら、メディポリスが2011年から運用されている施設にも関わらず、患者の急性期対応に必要な医薬品の使用プロトコルやNSTの運用が近年まで用意なされていなかったことには驚きを感じずにはいられなかった。もしかしたら医療従事者の意識の問題に起因する部分もあったのかもしれないが、仮にそのような側面があったとしても、人材が豊富であればより早期から対応できた課題であったことだろう。いま日本全体として高齢者増加・労働人口減少・都市部への人口集中が継続しているなかで、地方の人材不足はより深刻なものになっていくことが予想される。地方の中枢都市ならまだしも、指宿市のような人口減少地域では猶更であろう。メディポリスのように重要な医療施設を長期的に存続させるためには、このような人材不足の問題にも対処していくべきなのだろうが、これは個々人には対処不能な問題であると感じる。地方医療の将来はどうなっていくのだろうか…。
(5) 薬剤師のあるべき姿:てらわき薬局城西での研修では、「対人業務」の重要性が語られていた。いま全国的に「『対物業務』よりも『対人業務』に集中していくべき」というスローガンが掲げられている。先述したような機械導入による業務効率化や薬剤師の飽和を考慮すれば正にその通りだとは思う。しかしながら、「対人業務」も当然重要だが、また別に重要な「対物業務」があると感じている。それは単なる調剤だとか医薬品管理とかではない。それは例えば、病院実習で目にしたTDMやがん専門薬剤師の豊富な知識をもとにしたチーム医療、また、持留氏がメディポリスで行ったNST設営など、対人業務とは全く異なる方向で医療を向上させる業務である。「対人業務」よりも難易度が高く、残念ながら全薬剤師が出来るものではないだろう。しかし、どうせ理想を掲げるのであれば、これくらい大きいほうが良いだろうし、これから日本の医療・地方の医療に真に求められているのはこのような対物業務を行う能力ではないだろうか。仮に私が将来的に薬剤師として働くのであれば、そのような薬剤師を目指したいと考える。

➁11/6~7に高度先導的薬剤師養成プログラムである「一般社団法人メディポリス医学研究所 メディポリス国際陽子線治療センター・薬局研修」に参加した。今回の研修を通して、陽子線治療が従来のX線治療に比べ、がん組織により特異的に放射線を照射でき、副作用や放射線誘発がんのリスクを最小限に抑える革新的な治療法であることを学んだ。治療施設の少なさや認知度の低さといった課題はあるものの、今後、従来の治療が困難な患者にも広く届くことを期待した。指宿市の陽子線治療施設では、リゾートホテルが併設されており、滞在型の治療が可能である。実際に宿泊体験を通して、景観や料理、サービスなど快適な環境が整っており、患者の心理的負担を軽減し、治療への前向きな姿勢を支える有効な仕組みであると感じた。陽子線治療センターの薬剤師は、造影剤による有害事象や口腔粘膜炎への薬学的介入を行っていた。ウォーターサーバーの設置、口腔ケア推進、新規薬剤導入などの取り組みの背景には、過去データの分析や医科歯科連携、チーム医療の実践など、薬剤師の幅広い活動があることを学んだ。また薬局研修では、ピッキングマシンや分包機、24時間受け取りシステムなど最新設備を導入した薬局を見学し、先進的な運営体制に触れた。これらの学びから、データに基づき専門性を活かして課題に主体的に取り組み、他職種と連携しながら変化に対応できる薬剤師こそが、先導的薬剤師であると感じた。さらに、本田一文教授による膵臓がんの早期発見技術に関する特別講演では、基礎・臨床・政策研究を横断した取り組みを通じて、バイオマーカー研究の課題や政策研究の重要性を学んだ。これを踏まえ、自身の研究の意義や課題についても改めて考える契機となった。今回の研修では、陽子線治療のみならず、がん治療全体の現状や課題、先導的薬剤師のあり方、そして研究の社会実装に向けた視点を学ぶことができた。今後、学んだ知見を自身の研究やこれからのキャリアに活かしていきたい。

➂11月6日から11月7日にかけて「メディポリス国際陽子線治療センター」にて行われた研修に参加した。1日目は荻野センター長による講演から始まった。陽子線治療では陽子線の線量分布をがんの形に合わせて調整することが可能で、周囲の正常組織への影響を軽減できるということを学んだ。メディポリス指宿ではリゾート滞在型の陽子線治療を行っており、治療を受けながらも温泉やゴルフなどの趣味を楽しむことができ、患者さんの心の負担も軽減できるという点が非常に印象的であった。乳癌の陽子線治療に使用される乳房固定具は温泉に入った際に取れるようになっているという点も、患者さんに対する配慮がなされていて素晴らしいと感じた。湯之前事業推進本部長のご講演では、歯科での使用以外では保険適用のないエピシル(陽子線治療の副作用である口腔内粘膜炎の疼痛緩和のための口腔粘膜保護剤)を陽子線治療の患者さんに使ってもらいたいという思いから、周辺の歯科医院と連携し、運用改善を行ったということ、造影剤による副作用を軽減するためウォーターサーバー設置、飲水推奨ポスターの作成を行ったということをお話しいただいた。課題・目的を明確にし、臨床の現場においてもエビデンスを集め研究を行うことで、患者さんにより良い医療を提供することができるということを学び、私自身も患者さんの為に何ができるかを考え、行動できる薬剤師になりたいと感じた。本田一文教授の特別講演では、発見した膵臓がんの血液バイオマーカーであるApoA2についてや、ApoA2を早く世に出すための仕組みづくりの重要性についても学ぶことができた。ApoA2が臨床現場で活用され、膵臓がんの死亡率低下に貢献することを目標としており、今回その実現に向けた歩みを知り、想像以上に多くの困難を伴う道のりであると感じた。センター内の見学では、実際の陽子線治療室や回転ガントリー、シンクロトロンを見学することができ、その規模や精巧な作りに驚いた。2日目は、薬剤師の持留先生から、漢方薬を用いた陽子線治療患者へのサポーティブケアや、学校薬剤師の観点から若者の薬物乱用についての講演があった。病院や薬局業務以外で薬剤師として役立てる部分について改めて知ることができて良かった。最後に大賀薬局に行き、薬局内の見学をした後でグループに分かれて意見交換会を行った。薬局ロボット『ROWA』が処方箋通りに薬をピッキングする様子を実際に見ることができ、最先端の技術に非常に驚いた。このような機械化により、服薬指導や在宅調剤などの対人業務に時間を割くことができるのだと知った。また、在宅の患者さんやリフィル処方箋制度の円滑な運用にはかかりつけ薬剤師の存在が重要であるということも学ぶことができた。

➃本研修では、メディポリス国際陽子線治療センターと大賀薬局にて2日間にわたり陽子線治療や薬剤師業務について学んだ。まず、1日目のメディポリス国際陽子線治療センターでは講義により陽子線治療のメカニズムや従来の放射線治療との相違点、また陽子線治療における薬剤師の業務などを詳しく学び、実際に治療で使用される機器類の見学を行った。陽子線治療について学んだ中で特に印象的だったのは陽子線治療は従来の放射線治療に対して放射線被ばく誘発性のがんや晩期障害などの人体への影響が少なく、患者のQOLが高いという点であった。陽子線は従来の放射線治療で用いられているX線と異なり、高いエネルギーを一気に発散するブラックピークというものがあり、このブラックピークをがん病巣に合わせて拡大させることでがん細胞への障害性は高いままほかの器官や組織への障害性を極力下げることができる。どんな治療においても副作用を最小限に留めることは重要なことであると考えているため、陽子線治療が効果的であるがんに対しての治療法として普及していくことに期待したい。普及させる上で金銭的な負担の軽減が重要な課題の一つであり、保険適用の拡大など個人や病院だけではなく国単位での取り組みが必要なのだと感じた。また、実際に併設のホテルの利用や周辺の自然に触れることで精神的な面で大変癒された。この経験から指宿の自然に触れながら治療することで患者の身体だけでなく精神的なケアも同時に行うことができるのだと実感した。さらに、陽子線治療における薬剤師の業務も印象的であった。講義の中では具体的に陽子線治療による口腔粘膜炎に対して院内のみで解決しようとするのではなく地域の歯科医師と連携することで患者のQOLを向上させたことや造影剤使用による副作用の原因及び改善点を探し、ウォーターサーバーを再設置したことなどの実例が挙げられていた。薬剤師の仕事が薬剤に関することだけではないと知っていたつもりだったが病院外の医師との連携などを聞き改めて様々な角度から患者のQOLの向上に貢献しているのだとわかった。この講義の中で自身の案を提案する際にエビデンスとなるガイドラインや文献、過去の事例を提示することの大切さも学ぶことができ、これは薬剤師だけでなく企業においても必須な力であるため学ぶことができて良かった。
次に、2日目は大賀薬局において薬局で利用されている機器及び薬局薬剤師の業務について学んだ。大賀薬局では薬剤のピックアップや調剤などの大部分を機械で行っていた。薬剤を保管しておく場所も薬剤師が決めるのはなく、機械で一斉に管理されていると聞き、ヒューマンエラーを最小限にすることで患者により安全性が確保された薬剤を提供できるのだとわかった。また、機械の導入によって対人業務の時間を増やすことによって患者への服薬指導や医師へのフィードバックを十分に行うことができることに加え、患者とより長く接することで患者の心身の機微を察することができるようになるのだと感じた。患者目線から考えると自分の体調などの変化をすぐに感じ取ってくれる薬剤師の方が信頼でき、なにかあればすぐに相談しようという考えになるのではないかと思う。より患者に寄り添い、安全に薬剤を提供していくにあたってかかりつけ薬剤師は必要不可欠であることも学ぶことができた。
本研修に参加したことにより医療現場を間近に見学することができ、将来の自分の在り方を考える機会となった。この経験を基にこれから研究等に励んでいきたいと思う。最後に、本研修にご協力いただいた全ての方々に深く感謝申し上げます。

➄陽子線治療は他の治療法とほぼ同等の効果を持ちながら副作用が少ない点などから、今後ますます注目されていくだろうと感じました。保険適用がさらに拡大していくことも考えられるため、薬剤師として治療法の一つとして理解を深めておく必要があると感じました。
病院薬剤師の方が様々な業務を担っていることを知り、多忙な中でも患者さんとしっかり向き合うことの大変さを実感しました。さらに、高度先導的薬剤師として、副作用の発生頻度を減らすことや、患者さんが安心して治療を受けられる環境づくりのために、薬学的観点を生かして薬剤師が主体的に行動していく必要があることを学びました。また、レスキュー薬の適用マニュアルの作成など、薬剤師ならではの専門的な観点から他職種とどのように連携しているのかを知ることができ、多職種協働の中で薬剤師が果たす役割の大きさを感じました。
がんが発生する微小環境を反映して、早期がんやリスク臓器を診断するバイオマーカーの開発のお話も非常に興味深かったです。また、基礎研究と臨床現場を繋ぐプラットホームの確立にも尽力されており、今後さらにバイオマーカーの社会実装が加速していくと思いました。
大賀薬局では機械化が進んだ薬局を見学することで、自動化が進むなかで薬剤師として生き残るために必要なスキルや知識、対人業務の在り方を改めて考えるきっかけになりました。

➅11月6日(1日目)に関して、メディポリス国際陽子線治療センターにて、(1)荻野センター長による陽子線治療に関する概要・現状についての講演(2)薬剤師である湯之前先生による病院薬剤師として薬剤師的視点による臨床的な問題への介入に関する講演(3)本田先生によるがん治療におけるバイオマーカーに関する講演を受けました。また、(4)陽子線治療室および、回転ガントリーの見学を行いました。11月7日(2日目)に関して、引き続きメディポリスにて(5)持留先生による薬剤師の職場外での活躍に関する講義を受けました。その後、(6)大賀薬局西口店にて薬局見学及び今後の薬剤師像に関する意見交換を行いました。(1)陽子線治療に関して、局所的ながんに対して根治的な治療が可能な点では外科手術と同じだが、侵襲性・QOLの維持に関してメリットがある。また、放射線治療と比較して線量集中性が高く、晩期障害を起こしづらいこと・骨や神経に対する障害を与えづらい為子供に対して成長障害を起こしづらいことがメリットとして挙げられる。その他にも、生物学的効果比でも放射線よりも陽子線治療の方が効果は高い。また、陽子線治療では、ブラッドピークを過ぎると線量が大幅に下がるため、顔などの重要な器官や神経が密集している部分に対しても用いることができる。まとめると、陽子線治療での大きなメリットは副作用を起こしづらい点と、放射線治療では難しい症例に対しても陽子線治療によって対応できる場合がある点だと考えた。しかし、陽子線治療が抱える問題点として、現在までも様々ながん種において適応が拡大されているが、未だに適応範囲が狭く保険適応外となった場合の医療費が高い点。また、陽子線治療の難しさに関しては治療を受けるにあたってセカンドオピニオンや陽子線センターの事務の受付が必要な点が挙げられる。保険適応範囲の拡大に関しては、呼吸同期照射などの技術的な発展も重要なファクターになると考えている。(2)湯前先生のお話の中では医師,薬剤師と歯科医師との多職種連携についての取り組みには興味深く感じました。学生としては、歯科のみで保険適用されているエピシルに関して、どのように適応範囲を広げるのかを一番に考えてしまいましたが、湯前先生のより早期での対応を考えた上での市内歯科との連携は自分には無かった、より臨床的な視点の一つであり興味深く感じました。湯前先生のように目の前の患者のメリットが大きくなることを考え続ける姿勢を見習いたいと思いました。また、湯前先生の造影剤投与におけるモニタリングに関して、薬剤師としての視点から施設の運営に対して意見を通した話に関しては病院薬剤師として、患者にとってより良い病院設計を考えることの重要性を感じました。(3)本田先生のお話では、がんの診断マーカーの重要性及び探索から社会実装までの流れについて学ぶことができました。がんマーカーとして見出した物質があったとしても、その物質のマーカーとしての感度や特異度など、実際に社会実装されるまでにどんな困難さがあったのかなどを知ることが出来ました。将来臨床に関わりたいと思っている学生として、今後使っていく検査値やマーカーがどういった流れで使えるようになったのかなどを理解することの重要性について学ぶことが出来ました。また、研究において臨床に送り出す、患者に応用するために安全や有益性がどこまで必要とされるのかを感じました。(4)陽子線治療においては、巨大なシンクロトロンや回転ガントリーを実際に見学すると騒音の問題や敷地の問題からメディポリスのように市街地から離れた場所に作ることは難しいことが考えられる。そのため、QOLを考慮した上で、メディポリスのようにリゾート滞在型施設としての運営は理にかなっているように感じました。(5)持留先生の話では、特に学校薬剤師に関しての話に興味を持ちました。自分も学校薬剤師に対しての興味はあったのですが、学校薬剤師のイメージとして薬局薬剤師が兼任しているイメージが強く、病院薬剤師を目指す自分としては、興味があっても難しいと考えていました。しかし、持留先生が実際に病院薬剤師と兼任で学校薬剤師として小学生に対してODに関して啓発授業を行っていると聞いて驚きました。実際に持留先生に病院薬剤師と学校薬剤師の兼任に関して質問したところ、「病院薬剤師会と県薬剤師会の担当の違いから病院薬剤師の学校薬剤師とのハードルが高くなってしまっている。そのことについても、県薬剤師会との話し合いが必要だと考えている。」とおっしゃられていました。実際に私も今回の研修を通して、病院薬剤師と学校薬剤師の兼任について興味を深めているため、学校薬剤師の制度に関して情報収集していきたいと思います。(6)大賀薬局西口店にて薬局見学では、様々な剤型において調剤、ピッキングの機械化が進められていました。実際に、そのような機械の導入によって、ヒューマンエラーの防止や対人業務に必要な時間を捻出できる点についてをメリットとして挙げられていた。実際に、薬局の流れとしてかかりつけ薬剤師の推進や健康サポート薬局の推進など対人業務への重要視が進んでおり、患者さんとの時間を長くすることに繋がる機械化は今後の薬局の進歩の方向性として理解しやすいものだった。また、見学した大賀薬局西口店では小児科中心の薬局だったが、様々な併用薬があり、一包化の必要性のある高齢者を中心とした薬局においては機械化のメリットがより大きくなるように感じた。次に意見交換に関して、大賀薬局では患者からの情報収集において服薬指導や在宅医療、フォローアップの重要性を挙げていた。実際に症例を見て、がん患者におけるトレーシングレポートを見て、フォローアップによる継続的な対応の重要性とかかりつけ薬剤師の重要性を再確認できた。また、施設を含めた在宅医療について、今後より高度かする医療において在宅で対応する患者も増えるのではないかと考えているため、これからの方がより重要になって行くのだろうと感じています。この薬局見学・意見交換において、将来的により活躍していける薬剤師に必要な能力として、薬剤師としての専門的な能力は当然として、コミュニケーション能力やデジタル化していく医療施設に合わせたデジタルに関する情報収集などの能力があることを学びました。そのため、今の内からそのような能力を育んでいこうと思いました。今回の研修において、陽子線治療・病院薬剤師・研究者・薬局薬剤師のそれぞれの患者への貢献について学ぶことが出来て、今後の自分のキャリアに役立つ機会になりました。

➆11/6(木)、7(金)の2日間、メディポリス国際陽子線治療センター・薬局研修に参加し、陽子線治療や陽子線治療においての薬剤師の取り組み、バイオマーカーの開発、薬局における機械導入と対人業務などについて学ぶことができました。放射線治療の特徴として、腫瘍に対する優れた効果と人体への影響が少なく、高齢者や心臓病の方などに行いやすく、また機能と形態を保存することが出来ることがある一方で、晩期放射線障害や放射線誘発がんが生じるというデメリットもあります。しかし、陽子線治療は、このデメリットを低下させることが出来ます。陽子線治療はブラッグピークにより、腫瘍選択制を高くすることが出来、また陽子線の軽さを利用して、患者ごと、腫瘍の状況ごとに最適な方向から照射することが出来ることで、正常な組織への影響を抑えることが出きる線量集中性が特に印象に残りました。実際にガントリー照射室でガントリーが回転している様子も見学することが出来ました。患者さんは横になるだけで治療は行われ、痛みもなく慣れた患者さんの中には寝てしまう方もいるということを知り、陽子線治療の患者さんの身体的・精神的負担の少なさを実感できました。一方で、口腔粘膜炎が生じて患者のQOLが低下することもあり、この問題に対しては医科歯科連携を行うことで対応しており、また、造影剤の副作用を抑えるための飲水指導やステロイド前処置の改善を薬剤師が中心となって行っており、薬剤師の職能を活かす場面は自分で見出していくことが必要なのだなと思いました。また、これまでに行われていたことを変更したり、新たなことを導入したりするために、ほかの職種の方に納得していただくためには、様々なエビデンスを提示することも重要であり、エビデンスを収集する能力も必要だなと思いました。また、学校薬剤師としての業務についてのお話も伺い、薬物乱用やオーバードーズに関する教育も行っていることを知りました。薬学に精通しているものとして、正しい薬の使い方を人に伝えていくことも薬剤師の重要な使命なのだなと思いました。さらに、バイオマーカーについてのお話も伺い、臨床現場に研究成果を届けるということの難しさや重要性を学ぶことが出来ました。自分の研究の臨床意義を考えながら研究を行っていこうと思いました。大賀薬局では、ピッキング、散剤・液剤の調剤が機械化されているところを見学しました。病院で機械化が導入されていることは別の講義で聞いていましたが、薬局でも機械化が進んでいるということを知り、驚きました。機械化が進むことで、人的ミスを減らすことが出来、加えて以前まで薬剤師が調剤業務をしていた時間が空くことで、その時間を対人業務に当てることができるというメリットがあることを学ぶことができました。今回の研修を通して、薬剤師として何ができるかを考え、それを実行する能力、患者さんと継続的な関係を作る能力を身に付けることの重要性を感じました。今後は、薬学の知識を身に付けるのみならず、研究や実習を通じて、このような能力を身に付けることも意識していこうと思いました。

➇出張報告内容: 本プログラムでは、1日目にメディポリス国際陽子線治療センターを訪問し、がん治療の最前線を学ぶ講義と施設見学を実施した。
午前中に指宿駅へ到着後、センターに移動し、荻野センター長による「陽子線治療の概要と今後の展望」に関する講演を受けた。陽子線が体内の特定の深さでエネルギーを放出する性質を持つことにより、腫瘍にのみ照射エネルギーを集中させ、正常組織への影響を最小限に抑えられるという特徴を学んだ。続いて、湯之前事業推進本部長より「陽子線治療における薬剤師の役割と医科歯科連携」、本田一文教授より「がん治療における学際的アプローチ」に関する特別講演を受け、治療の現場における多職種連携の重要性を理解した。
その後、センター施設見学を通じて、放射線治療装置や回転ガントリーなどの機器を間近に見学し、高度な医療技術が患者中心の治療設計にいかに活かされているかを実感した。
2日目は、持留薬剤師による講演「薬剤師のキャリアパスと現場での挑戦」を聴講した。病院薬剤師としての臨床経験と研究活動の両立に加え、患者支援の現場で必要とされるコミュニケーション能力の重要性を学んだ。
午後は鹿児島市のてらわき薬局城西を訪問し、薬局業務の自動化設備(全自動水剤分注機、自動調剤ロボットなど)を見学したほか、地域医療における薬剤師の役割について中熊氏・井上氏と意見交換を行った。薬剤師が患者の生活背景や副作用を把握し、医師・看護師と連携して治療継続を支援する姿勢に強く感銘を受けた。
感想:本研修を通じて、薬剤師ががん治療の現場で果たしている専門的かつ多面的な役割を具体的に理解することができた。特に、陽子線治療センターでの講演や施設見学を通じて、薬剤師が単に薬剤の調製・管理を担うだけでなく、治療計画や副作用マネジメントにも積極的に関与している点が印象的であった。
 また、先輩薬剤師との意見交換を通して、臨床現場では科学的根拠と患者の生活背景の両面を踏まえた判断力が求められていることを実感した。大学院での研究活動においても、こうした「科学的知見を実際の治療へとつなぐ視点」を意識し、将来は臨床と研究を橋渡しできる人材を目指したいと感じた。

⑨2日間にわたってメディポリス国際陽子線治療センターでの研修に参加させていただいた。
荻野センター長の講義では、陽子線治療についてその利点や課題、実際の症例について学んだ。陽子線治療は正常組織への影響を最小限に抑えて腫瘍のみを狙い撃ちでき、治療中に患者さんが痛みを感じることがない点が大変魅力的だと感じた。一方で治療費が高く、治療施設の数も多くないという課題もあるとのことで、すぐに普及させるのは難しいだろうと思った。少しずつでも陽子線治療ががん治療の選択肢として広がっていくといいなと思う。
湯之前先生の講義では、頭頚部がんの陽子線治療による口腔粘膜炎に対する口腔ケア、造影剤の副作用への対策について学んだ。歯科のみの適用であったエピシルを医科歯科連携を結ぶことで口腔ケアのために使えるようにしたというお話を聞き、薬剤師として歯科医師や看護師といった多職種と連携することが大切だと思った。後期の授業で多職種連携の授業を受けたが、やはり普段から多職種の方とコミュニケーションをとっておくことは重要だと実感できた。
本田先生の講義では、がん診断のための血液バイオマーカーについて学んだ。本田先生は膵臓がんのバイオマーカーとしてapoA2を開発し、これを臨床現場で利用できるようにされたというお話を聞き感銘を受けた。早期発見が難しい膵臓がんを血液検査によって見つけられるのは画期的だと思った。
持留先生の講義では、漢方薬を用いたがんサポーティブケアについて学んだ。がん患者さんは合併症や多剤併用されている方が多いため、1剤で複数の症状に効果があり、食欲不振など難治性症状に対応可能な漢方薬を用いたケアを行っている。また、持留先生は学校薬剤師として薬物乱用、オーバードーズについての授業にも取り組まれている。私は薬局か病院で薬剤師として働くということしか考えていなかったが、学校薬剤師という選択肢についても考えるきっかけになった。
薬局見学では、機械化された調剤を実際に見学し、間違いが起こらないようにするための様々な技術に感動した。また、グループワークでは、薬剤師が果たすべき役割について学ぶことができた。

⑩1日目の研修では、メディポリス国際陽子線センター・センター長と事業推進本部長、さらに本田一文教授から講演していただきました。2日目の研修では、施設の薬剤師さんからの講演と、大賀薬局の見学に行きました。まずはメディポリス国際陽子線センターについて、私は名古屋市にある陽子線センターを見学させていただいたことがあり、おおよその規模感やシステムについては理解をしていましたが、このメディポリス国際陽子線センターはまた違った驚きを与えてくれました。まずは位置する環境です。険しい山を登った先にあるメディポリスは、リゾート施設同様で、自然豊かで心穏やかに過ごせる空間を備えていました。「治療のために病院に通う」という固定概念を覆した施設は世界で見ても珍しく、今後のがん治療について考えていく上で貴重な経験となりました。そして放射線科のみの病院施設ということで、施設の薬剤師さんが苦労してきた経緯を教えてくださいました。飲水の管理や口腔ケアなど、薬剤師が治療に関われる要素はいくつもあり、より患者さんのQOLを高めようという姿勢が大切なのだと実感しました。本田一文教授の講演からもですが、時間がかかることを未来の医療のために行うことは、薬剤師にも求められているのではないかと考えさせられました。大賀薬局では、最新の調剤設備を備えた薬局を実際に見学でき、未来の薬剤師に求められていることを考えました。調剤機はどれも薬剤師の事務的作業を減らせると共に、調剤ミスの削減にもつながる素晴らしい機械です。実際に導入されている薬局を見学するのは初めてでしたし、それだけではなく、患者さんの待合室にも薬局を身近に感じてもらえるような工夫がされていました。薬局で求められていることは、いかに患者さんの生活と密接に関わることができるかなのだと実感しましたし、お金のかかる機械をどこも導入できるわけではない中で、実際に大切なのは機械を導入することではなく、限られた時間でどのように患者さんに薬学的介入をするかなのかなと思いました。最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださり本当にありがとうございました。

⑪荻野センター長のご講演では、陽子線治療の概略とx線治療との違いを学んだ。がん治療は、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法の四つに大別され、陽子線治療は放射線治療に分類される。陽子線治療は、陽子をシンクロトロンという加速器により光速の約60~70 %まで加速し、がん病巣に向けて照射する治療法である。陽子線により照射されたがん細胞はDNA障害により増殖能を失う。陽子線はブラックピークを持ち、線量集中性が高いという特性から、正常細胞にほとんど影響することがない。そのため、x線治療よりも腫瘍に対する優れた効果を保ちつつ、晩期放射線障害や放射線誘発がんのリスクを軽減できる。湯之前事業推進本部長のご講演では、多職種連携、地域包括ケアを活用し、現場の課題を改善した経験が紹介された。具体的には、陽子線治療による口腔粘膜炎症に対し、医科歯科連携を取り歯科受診を促すと共に、院内の口腔衛生管理プロセスの見直しや標準化を行うことで、患者さんのケア向上と医療従事者の不安解消という双方に成果を得た。造影剤投与の有害事象に対しては、ウォーターサーバーの再設置による飲水推奨、ステロイド前投与のプロセス変更、エピペンの常備などの策を講じ、副作用の発生率を低減した。現状の課題点を見極めて環境を改善し、その後の成果を調査・検証している点が印象的だった。本田教授のご講演では膵がんの早期診断、リスク層別化のための血液診断法について学んだ。膵がんは日本における悪性腫瘍による死亡率の第3位を占める。本田教授は、膵がんではapoA2の2量体C末端のアミノ酸が異常切断されることから、apoA2-isoformsが膵がんバイオマーカ―として利用できることを発見した。膵がんは年齢調整罹患率が低いことから、臨床試験の対象者を集めることが難しく、実用化に大きな困難が伴った。持留さんのご講演では、がん治療をサポートするための薬剤師としての取り組みや先輩薬剤師としてのキャリアパスについて学び、薬剤師としてできることの幅広さを実感した。大賀薬局では、機械を利用した調剤を拝見した。大賀薬局ではかなり機械化が進んでおり、正確性と効率を高めることで、薬剤師が対人業務により注力できる体制を整えている。薬剤師の対人業務では、患者さんとの会話から薬学的情報を入手し、薬剤師として情報を整理・解析後、必要時には医師へのフィードバックをすることが求められる。具体的には服薬指導、在宅、フォローアップ、トレーシングレポートなどがあげられる。患者さんの些細な変化に気づくことができるかかりつけ薬剤師の存在は重要である。最新の陽子線治療や薬剤師の在り方を専門家から学び、実際に見学できたことは非常に有意義で貴重な経験だった。今回の講演を通じて得た知識を活かして、日本の医療の発展に貢献できる薬剤師を志したい。ホテル設備も快適に利用でき、感謝しています。

⑫1日目は、メディポリス国際陽子線治療センターで講演を聞き、まずセンター長の萩野さんに陽子線治療とは何か教えていただきました。陽子線治療は正常組織に傷害を与えず腫瘍選択的な線量集中性であり、放射線治療よりも人体への影響が小さく放射線障害や発がんのリスクが小さいという点で非常に優れている一方、保険適用が限られていることによる金銭的な問題や施設数が少ないことや複数の治療室で同時に照射ができないことによるキャパシティの問題もあることで普及しにくいことが分かりました。今後、これらの課題が解決され、よりたくさんの患者の治療の選択肢の一つとなればいいなと考え、セカンドオピニオンの重要性も感じることができました。次に湯之前さんの講演では、陽子線治療に伴う口腔粘膜炎に対する口腔ケアのための、医科歯科連携や造影剤の副作用に対処するための取り組みについてお話を聞きました。歯科でのみ保険適用となる「エピシル」による治療をするために施設周辺の歯科と連携したことを聞いて、他の診療科や地域との連携も重要になることが分かりました。また、造影剤の副作用に対しても、脱水の問題を解決するためにウォーターサーバーを設置するようなことから、緊急時の対応まで多くのことを実行されていて、様々な問題を解決するためにとても活躍されていることに驚き、私も将来患者さんのために行動力のある薬剤師になりたいと思いました。そして本田先生の講演では、バイオマーカーについての興味深いお話を聞くことができました。難治がんのバイオマーカーの確立がゴールである一方、膵がんなどの罹患者が少ないがんでは、巨大なサンプルサイズが必要となるため研究が難しいことが分かり様々な研究が行われていることが分かりました。最後に陽子線治療の施設見学を行い、陽子加速器や治療室を実際に見学しました。陽子線は360°どの方向からも照射できるようになっていて、そのための回転ガントリーも見学しましたが想像以上の大きさの機械で驚き、同時にこの陽子線治療の施設を新たに作ろうとしても土地的な問題でそう簡単なことではないことを実感しました。このメディポリス国際陽子線治療センターは「リゾート滞在型陽子線がん治療」を提唱しており、1日目の夜はセンターに隣接するホテルに宿泊しました。まず感じたのは治療環境の良さです。このセンターは山の上に位置し、自然に囲まれた静かな場所でした。また、ホテルでは食事や温泉などのサービスが充実しており、治療中でも患者のQOLの向上が目指されていることを感じることができました。2日目の午前中はメディポリスで勤務されている薬剤師の持留さんの講演があり、漢方薬によるサポーティブケアや薬剤師の役割などについてお話がありました。特に学校薬剤師としての活動のお話が印象に残り、薬剤師としてオーバードーズや薬物乱用防止のため、小学生向けの教育にも携わっていることを聞いて、調剤だけではない、薬剤師としての役割の幅の広さを知ることができました。最後に、「看護師の意見を尊重してください」という言葉がありました。病院では看護師の数が1番多く、1番患者さんの近くにいるからこそ分かることもあり、そんな看護師の意見の大切さも教えていただきました。午後には、大賀薬局西口店を見学し、機械化が進んだ最先端の薬局を実際に見ることができ、とてもいい機会になりました。見学前は機械化が進んでも薬剤師の業務が減るだけ、という感覚でしたが説明を聞いて、ピッキングの間違いを減らせること、近年対人業務が重視される中、調剤の時間を短縮し対人業務の時間を増やせることをが分かりました。薬剤師の対人業務については、情報の入手・整理・解析、医師へのフィードバックがあると教えていただき、特に情報の入手についてフォローアップについて初めて知ることができました。最後に、かかりつけ薬剤師についてのお話もありました。現役薬剤師の方のお話を聞いて、かかりつけ薬剤師という存在があれば、例えば患者さんの「大丈夫」というたった一言でもちょっとした様子の違いに気づけるということを聞いて、その重要性を感じることができました。実習を経験していない私にとって今回の見学や現役薬剤師の方のお話はとてもたくさんのことを学べた有意義な機会となりました。

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