【報告】熊本大学 Therapeutic Drug Monitoring(TDM)研修
2023.04.11
【日程】2023年1月28日(土)
【研修先】熊本大学薬学部 宮本記念館
【参加者】学生(3名)、薬剤師(73名、卒業生を含む)
【プログラム研修等の内容】
【ハンズオンセミナー】
「うちでもデキル!私でもデキル! タイムリーなTDM実践!!」
武蔵ケ丘病院 薬剤部 畑本 慶太先生
「高速液体クロマトグラフ」の測定手技の体験セミナー
【特別講演】
「抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022改訂のポイントと今後の課題」
慶応義塾大学 薬効解析学講座 教授 松元 一明
【参加した感想】
研修会を通してTDMについての知見を深めることができた。現状として、自施設でも血中濃度の測定は外注で行う薬物がほとんどで、2日程度の時間を要するために、迅速な投与設計が行えず治癒の遅延や副作用につながることもあった。また、休日に左右されて、採血のタイミングを調整する例はよく見られる。今回、高速液体クロマトグラフLM1010でその課題の解決できることを体験した。LM1010は、専門的技術を持たないひとでも簡単に測定でき、作業時間も1サンプル15分程度と速い。しかも、一つの測定系で複数の薬剤の濃度を測定でき、多くのメリットを感じた。実際にLM1010を導入した武蔵ヶ丘病院の畑本先生の講演で、やはり薬物の血中濃度をタイムリーに測定できることは、非常に有用なものであると分かった。緊急性を要する医療の現場において、患者の個体差を考慮すべき状況のときに、血中濃度を迅速に知ることができれば、薬物治療の効果を最大限発揮できると考える。導入までには、コスト、他部署の協力、廃液の処理、設置場所、機器の調達など課題はあると思うが、自施設でも導入するために、職場でも広めていきたいと思った。
今回この研修に参加し、TDMについての知識を深めることができた。畑本先生からは高速液体クロマトグラフ「LM1010」の導入経緯から現在の実践までのお話を伺くことができた。その中でも特に印象に残っているのは、「LM1010」による測定の症例として紹介された84歳の男性患者の症例だ。TDMを外注すると3連休にかかるタイミングで、結果が得られるのは11日目となってしまうため、当院で血中濃度の測定を行ったという。自院で血中濃度が測定できるというメリットを改めて感じた。また、「LM1010」に関しては、自分が大学在籍中、「LM1010」を用いた血中濃度測定の研究に少し携わったことがあった。今回実際の現場で活用されていることを目のあたりにし、感動し嬉しく思った。今後も導入する施設が広がり安全な薬物治療につながったらよいと思った。