【報告】熊本大学  一般社団法人メディポリス医学研究所  ディポリス国際陽子線治療センター研修

2022.02.21

【日程】
2022年2月21日(月)

【研修先】
一般社団法人メディポリス医学研究所 メディポリス国際陽子線治療センター

【参加者】
熊本大学生:15名、岐阜薬科大学生 1名 合計16名
教員:1名

【概要】
医療の革新的な進歩により、がんに対する多様な新規治療法が開発され、がん患者が様々な治療戦略の中から最適な治療法を選択できる時代になりつつある。本研修では、薬剤師の観点から最新のがん治療の動向・現状を把握し、個々の患者に最適ながん治療を実施するための知識を習得することを目的とし、がん治療における最先端の陽子線治療を実施している「メディポリス国際陽子線治療センター」のご協力のもと、下記の通り研修を実施した。(*感染急拡大状況を踏まえオンライン研修とした)
【講演会】
・荻野尚 先生(センター長):センターの概要説明から陽子線治療の原理や他の治療法(X線治療、外科的処置)との比較・治療成果などの講演
・湯之前清和 先生(センター薬剤科):センターにおける薬剤師の役割、特に、薬剤師が関与する患者のQOL向上に貢献した取組の紹介
【オンライン施設見学】
・陽子線照射回転ガントリー治療室・患者処置室での陽子線治療デモ
・患者専用宿泊施設紹介(メディカルリゾート【HOTELフリージア】)
【先輩薬剤師のキャリアパス・意見交換会】
・湯之前先生のこれまでのキャリアパスについてご紹介いただき、
先輩薬剤師という立場から参加学生との意見交換会を行った。

【実施した感想】
継続して本研修を実施しているが、陽子線治療について全く知識のない学生も多く、薬学カリキュラムでは触れられない最新のがん治療を知ることができ、学生たちにとって有意義な時間となったようであった。がん治療の最新情報のアップーデートに加え、薬剤師に求められる役割の紹介があり、薬物治療のエキスパートとしてだけではなく、チーム医療において各々の役割を発揮することの重要性を実感した学生も多かったと思われる。加えて、薬剤師のキャリアパスという視点での意見交換により、薬学研究の大切さや薬剤師としての心構えなど、目指す将来像についても議論をすることができ、学生のモチベーションが向上していたようである。
 最後に、本研修を実施するに当たり、メディポリス国際陽子線治療センターから多大なるご支援・ご協力を賜りました。心から感謝いたします。特に、研修全体をコーディネートしていただいた湯之前先生の臨機応変な対応によって、本年度も有意義な研修が実施されたことを、この場をお借りして感謝申し上げます。

【参加学生の感想】
①メディポリス国際陽子治療センターの研修会に参加して、なかなか聞くことができないとても貴重なご講演を聴講することができ、見聞を広めることができました。大変充実した時間を過ごすことができました。放射線治療については、これまでに薬物治療学の講義や放射化学実習で少し学ぶ機会がありましたが、化学療法と併用する治療法の1つとして概要だけしか学んでいなかったため詳しい内容をしっかり理解できていませんでした。また、陽子線治療については、ほとんど学習をしたことがなく今回初めて学ぶことができました。
陽子線治療は、最先端の放射線治療技術で、腫瘍に対する選択性が高く、正常組織への障害が少ないため人体への影響が少ないうえ、侵襲性が低いので機能と形態は保存できるという体に優しい魅力的な治療法であることが分かりました。私は、薬物治療学分野の研究室で精神疾患の化学療法の個別化治療を目的に研究を進めているのですが、陽子線治療も患者さん一人一人のがんの位置や大きさ、形状に合わせた治療法であることを知り、やはり個別化医療とは異なる分野でも重要なポイントなのだと感じました。世界的にも陽子線治療が増えつつあるということで、日本でもさらに手軽に選択できる治療法になりそうだと期待が膨らむ一方で、医師の外科療法と放射線療法の考え方には違いが大きくある現状を知り、医療者の研修、認識の統一に課題があることを知りました。
(最も印象に残ったこと)
陽子線治療についての講義で局所制御率の高さやリゾート型治療施設の充実さも大変印象に残っていますが、イブすっきーの陽子線治療の体験youtubeが一番強く印象に残りました。私も含め陽子線治療を知らなかった人にとっても視覚的で分かりやすく、また、これから初めての治療を受ける患者さんにとっても全く不安なく治療を受けられるように工夫されている素晴らしい動画でした。私の親族もがん治療を経験しているので、陽子線治療という選択肢もあるということを知らせたいと思いました。
②放射線治療が有効な理由としては、細胞の増殖が不能になることによる増殖死を引き起こすこと、正常組織よりも腫瘍組織のほうが少ない線量で反応することが挙げられる。特に、小児の場合にはより注意を要する。放射線治療の特徴としては、腫瘍に対して優れた効果を発揮し、人体への影響が少ない。また、治療後の高いクオリティオブライフ(QOL)を維持することができる。ご説明の中で、仕事を続けたいために手術を受けたくないという考えをお持ちだった患者さんにとっての治療手段の1つとして放射線治療が行われたことからも、QOL維持可能であることを改めて感じた。しかし一方で、晩期放射線障害や放射線誘発がんが見られるという短所もあるため、治療後のケアが欠かせないと感じた。陽子線はX線と生物学的に等価であるが、X線が局所制御率30%であるのにも関わらず、陽子線は80%と高い。欧州原子核研究機構にある大型ハドロン衝突型加速器のイメージがあり、今回のシンクロトロンとはまた異なるものだと考えられるが、常々装置の大きさに疑問を持っていたので、今回そのことを説明いただいたので勉強になった。基本的には陽子線はまっすぐにしか進まないが、曲げるための電磁石があり、ゆがみが発生しないように、鉄で囲う必要があるため、装置は大きいものとなることが分かった。陽子線治療は根治的な量の陽子線を病巣へ安全に照射できること、頭蓋底、肝細胞がん、前立腺がんなどでは他の治療法と同等、あるいは優れていることが明らかになっており、また陽子線治療は線量集中性のメリットが見られるため、がん治療法の選択肢の1つとして確立されていることがわかりました。実際に陽子線治療を行う際には、患者さんの形に合わせた固定具や、患者さんのがんの形に沿ったオーダーメイドのボーラスを抵抗として、360度回転する照射口からの陽子線照射で、患者さんの負担も少なく、1人1人に寄り添った治療に感じた。
お話していただいた内容が患者さんのためにという思いが中心になっていて、薬剤師として動く際の考え方としてとても参考になると思いました。特に、患者さんの治療のために薬剤について深く検討したり、要望をきいて買い物を代行したり、患者さん家族のために案内板を用意したりと行動に移されていたことが直接患者さんの回復や気持ちが前向きになることに繋がっていて、やりがいがあるとおっしゃられていたことに共感しました。ご講演ありがとうございました。
③がん細胞が発見されるまでには、30回ほどの分裂が必要であり、1cmのがんには10億個もの細胞が含まれているということに驚いた。また、この大きさになるまでに10~20年かかるということなので、その間に免疫でがんを死滅させられる身体を作っておくことが大切だと改めて感じた。放射線治療は、適応の制限が小さく、患者のQOLを上昇させることが出来るという利点があることが分かった。陽子線治療でその効果は大きく、放射線治療の副作用である放射線誘発性のがんなどのリスクが低下することを知った。しかし、私の祖母は放射線治療を受けることは出来たが、陽子線治療を受けることは出来ないといわれたと聞いた。そのときは何も感じなかったが、なぜそのように言われたのか、陽子線治療と放射線治療の適応患者にはどのような差があるのか知りたいと感じた。また、抗がん剤治療や外科手術、放射線治療はがんの治療法として広く知られていると思う。一方、陽子線治療は知っている人が少なく、治療を諦めている患者さんもいると考えられる。そのような人に治療の兆しとして陽子線治療がもっと広まればいいと思う。そして、保険適用の拡大により個人の負担の少ない状態で、より多くの患者さんが安心して治療を受けられるようになるといいと感じた。
 陽子線の特徴によって局所に照射することが出来るだけでなく、コリメータやボーラスといったフィルタのようなものを用いることによって、患者さんに合わせてより集中的に照射できるという技術に驚いた。また、治療時間の短さにも驚いた。がんの手術や治療というととても長い時間がかかり、患者さんだけでなく家族の負担も大きいというイメージがあった。副作用が少ないだけでなく、治療時間が短いことも陽子線治療のメリットなのではないかと感じた。メディポリスでは患者さんの楽な呼吸に合わせて照射を行っているということなので、より負担を少なく治療できる。また、自分の好きなことや趣味をやめずに治療を行えるのは、患者さんの治療中のQOLを維持する上で大事だと感じた。これは技師の方の技術や努力のおかげだと思う。これからもっと、メディポリス指宿の方々が行っておられるYouTubeなどを通じて陽子線治療が広まって、多くの人が救われるといいと思った。
 これから先、がん治療に悩む患者さんからの相談を受けたり、身近な人ががんになり治療に悩んだりすることが考えられる。今日の講義を通して、そのようなときに陽子線治療を候補として提案できるようになったと思う。今回のYouTubeの映像を通して、メディポリス指宿は今までの病院のイメージとは大きく違うことが分かった。治療以外の時間を楽しく過ごすことが出来るのは、患者さんの精神状態を安定させるためにも必要だと思うので、日本国内の他施設にはどのような特徴があるのかなどを調べてみたいと感じた。薬剤師だから薬の勉強をしておけばいいという考えではなく、放射線や粒子線などの治療についての知識を得る機会をこれからも自分でつかんでいきたいと思う。
④陽子線の存在は講義などで耳にしていましたが、それがどのように活用されているのかを知らなかったのですが、今回がんの治療に使われているということを知った。手術と治療成績が変わらなかったり、放射線抵抗性のガンにも有効だということが強みとしてあるということを、患者さんが最良の選択肢を選べるように世間に広く認知されて行ってほしいと感じた。陽子線の照射時は痛みや治療にかかる時間が少なく、また治療期間中の拘束がなく自由に活動できるところが、ストレスフリーでがんの治療を行うことが可能なのかと驚いた。動画での施設見学ということで、シンクロトロンや回転ガントリーの動いている様子だったり規模感などが直接拝見することが出来なかったのが残念だったが、患者視点での治療の様子や一連の過程を動画で見て分かりやすかった。
⑤ひらがなで書く「がん」の意味、癌細胞は1 cmになるまでは時間がかかるが、1 cm以降の進行は速い。放射線治療にはメリット、デメリットがあり、小児の場合特に注意が必要である。陽子線は生物学的にはX線と等価である。日本は保険診療により治療費が安い、医師間での陽子線に対する意識が違う。以上が印象に残っている。指宿には何度も訪れたことがあるが、リゾート併設型の陽子線治療センターがあることを初めて知った。多くの症例を利用して陽子線治療の効果、実用性がよく理解できた。
陽子線治療でがんの狙い撃ちができる理由がわかった。実際に施設内の様子を見ることができてイメージが膨らみ、より理解が深まったと思う。模擬患者の映像は実際の治療の様子を見ることで患者さんの不安を取り除くことができ画期的な取り組みだと感じた。リゾートで休みながら、精神的にも肉体的にも患者さんに優しいことが最大のメリットであると感じた。治療室は三つあり、一日に50名ほどが治療を受けている。360度照射が可能であり、ボーラスというものを使って患者さんにあった照射を可能にしている。加速器のメカニズムや治療費が高額になる理由等多くのことが印象に残った。
口腔粘膜炎患者のために歯科医と連携をとったり、ウォーターサーバーを設置したり、造営剤アレルギーに対応したりとあらゆる患者に適応できるよう活動なさっていることがわかり、患者さんのQOL向上に今後の期待が高まると感じた。
今日はこのような貴重な講演をありがとうございました。陽子線治療というものの知識は全くありませんでしたが、説明が分かりやすく容易に理解できました。がんの治療=手術と思われがちですが、化学療法とともに陽子線治療も積極的に行われるべきだと思いました。
⑥(がんの陽子線治療について)
陽子線は正常な部分のダメージを最小にして手術が受けられない人でも受けられるなどの放射線治療のメリットをより強くし、放射線による誘発がんなどのデメリットを小さくするということがよく分かりました。そもそもがんの治療といえば手術のイメージだったため、21世紀は放射線などが活発ということを知らなかったため、今回新しく知ることが非常に多かったです。まず、がんは最初の小さい時とある程度大きくなった時とで成長速度が異なるということを初めて知りました。どちらかというと小さい時の方が速いイメージだったので、逆にある程度大きくなった時の方が成長速度は早いことが驚きました。また、メディポリス国際陽性線治療センターが開発した陽子線の治療に用いる乳房固定具が印象に残りました。カップはお湯でしか取れず、繰り返し使えるという技術がとても素晴らしいと感じました。ただ、先進医療の一連の治療が314万円の自己負担というのは他の国よりもかなり安いとはいえ、なかなか治療に踏み切ることが難しい値段だと感じ、早く全ての陽子線の治療が保険適応になってほしいと思いました。
(センター施設オンラインツアーについて)
陽子線の治療は患者さんごとのがんの位置や大きさ、形状に合わせて照射できるということはとても素晴らしいことだと感じました。放射線治療が発展していき、患者さんごとに適切な治療で副作用なども抑えられ、保険適応が進めば、次第に手術ではなく、放射線が主になっていくのではないかと感じました。また、施設のオンラインツアーによって、実際の機器を見ながら説明してくださったため、それまでのお話をより理解することができました。治療時間も短く、ホテルなどもあるため、患者さんはストレスを抱えることなく治療を行えると感じました。
(先輩薬剤師のキャリアパスについて)
自分の進路について全く決めていないのですが、様々な進路を考える上で今回のお話を聞けてよかったです。ありがとうございました。
⑦今回はお忙しい中「メディポリス国際陽子線治療センター研修」に参加させていただきありがとうございました。今年度はオンライン開催ということもあり実際に施設の見学をすることができなくて残念でしたが、それでも今までの講義等での取り扱いもなくほとんど何も知らなかった陽子線治療について様々なことを学べてすごく有意義な時間となりました。その中でも特に印象に残ったことを2つまとめさせていただきます。
1つ目は、陽子線治療のメリットについてです。がん治療と聞いたときに自分の中で思いつくことは、手術・化学療法・放射線治療の3つです。これらの治療法を考えると副作用であったり、ほかの組織への影響であったりとマイナスの側面をどうしても考えてしまいます。その点陽子線治療についてのお話を聞いたときには、組織特異的に治療を行えることや、治療の際に痛みなどの身体的な負担が少ないために高齢者などの体力が低く手術が行えない患者さんにも行うことができることなどのほかの治療法と比べた時に大きなメリットがあるということが分かりました。しかし、一部の治療を除き保険適応外であるということや、知名度が低いということは、これからより陽子線治療をがん治療において身近なものにしていくうえで大きな課題になっていくと思います。特に知名度については、薬学生であり比較的医療に関する最新情報を入手しやすい環境にいる私であっても知らなかったことであるので、一般の方々にとってはより情報を手に入れる機会が少ないと思います。陽子線治療はとても素晴らしい治療法であると思うので、知らないから苦しんでいたり、助からなかったりする患者さんを1人でも減らせるように、またすべての患者さんにとって選択肢の一つになるように、まずは医療従事者を対象にした研修会や、学生向けの講演会等で認知度を高めていく必要はあると思いました。
2つ目は、湯之前清和先生のお話についてです。お話をきいて一番思ったことは、薬剤師だからといって自分の行動に制限を付けるのではなく、患者さんにとって最良な選択を常に行うように心がけて行動を行っているということです。周りを「ハッピー」にしたいということは私も心がけていることの1つでありますし、この先薬剤師として現場で働く時にもとても大切なことになると思います。また医師等に説得を行う際に文献等でエビデンスを示すことが大切であるというお話もされていたので、学生であるうちにしっかりと論文を読みその内容をまとめることができるようにしていきたいと思います。
最後になりますが、今回はこのような貴重な経験をさせていただき本当にありがとうございました。来年度に行う実務実習やその先薬剤師として働く際に今回の研修で学んだ内容を少しでも生かせるように頑張っていきたいと思います。また、陽子線治療だけでなくほかの分野に関しても最先端のものを積極的に学んでいきたいと思います。
⑧(第一部の感想)そもそもがんとは何なのかに始まり、具体的ながん治療の歴史や方法、そしてその中でもがんの放射線治療について、詳しく教えていただいた。放射線治療にはもともとX 線が使われていたが、今は陽子による治療が良く使われており、陽子線治療はX 線よりも10%程しか効果は強くないが、がんに集中して損傷を与えることができて患者への負担が軽減できる。実際に、手術は不可能と判断されたがんも陽子線治療で治療した例もあり、本当に色々な種類のがんに対して効果を示している。個人的には、陽子線治療の施設の設備のごつごつしさにワクワクしてしまったのだが、それよりも乳房固定具まで自作で創ったことと、温泉に入浴してそれを外すことがとても驚いた。
(第二部の感想)実際の陽子線センターの中身を見させて頂いた。禍々しい装置に反して治療の様子は平穏で、患者さん自身は数分間横になっているだけだった。がん治療と言えば、個人的には手術で血がドバドバ出て、跡が残るものだと思っていたので、本当に治療をしているのかと疑いたくなってしまった。ホテルフリージアもとてもきれいな建物で、がんの治療目的ではないが、とても泊まりたい気持ちになった。ホテルの綺麗さと治療の負担の少なさを加味して考えると、本当に鹿児島に旅行するつもりで治療に行けるのだなと、しみじみ感じた。私ががんになる時まで、ぜひとも残っていてほしい。
(まとめの感想)今回の講義の内容はとても難しいはずだったのに、がんや先端治療について知識のない私も十分に理解できるなんて、本当に素晴らしい講義とその発表の仕方で感服しました。内容もとても面白く、受けている間ずっと、「自分は今、最先端治療の一部に触れているんだな」と考えてしまうほどでした。自分自身があまり知識不足のため、このような稚拙な感想しか書けませんでしたが、今回のような貴重な体験、本当に感謝しています。今回の講義は、私がこれからの大学生活で研究しようと考えている分野から離れていたとしても、絶対に無駄なことはないと思います。本当に、ありがとうございました。
⑨陽子線治療は放射線治療の一種であり、小児のがん治療や手術不能の膵臓がんに対して生存期間の大幅な延長などが期待できる新たな選択肢として期待されているということで、薬剤師を志すものとして、学ぶ必要があると感じました。腫瘍の大きさや深さに合わせて器具を調整し、360度から陽子線を照射することで、正常組織を傷害せずに照射ができるためがん化を防ぐことができるという点も治療を受ける患者にとって利点であると感じました。
最も印象に残ったことは、陽子線治療を行う医師と腫瘍の摘出手術を行う医師の間で陽子線治療に対する認識が大きく異なっているという点です。陽子線治療を行う医師は手術と陽子線治療の効果に大きな差はない、同等であるという認識であるのに対し、手術を行う医師は陽子線治療よりも手術のほうが優れている、と認識しており、医師の中でも考え方が異なるために、患者の治療選択に影響が出る可能性があるということで、正しい知識をもち、公平な判断を行う必要性を感じました。
ディポリス国際陽子線治療センターオンライン見学・研修会に参加し、普段聞くことができない貴重なお話を聞くことができました。陽子線治療に関しての知識がこれまであまりなかったので、がんに対する治療法の1つという認識でしたが、詳しいお話を聞くことができ、陽子線治療の利点や、今後より治療範囲が広がっていく可能性を感じました。陽子線治療を知らなかったから、選ぶことができなかったから、治療の可能性がなくなってしまう患者様のために、広報活動がとても大切なものであることを学びました。ひとつひとつの活動は小さく、情報を必要としている方の耳に届けるのは簡単ではないと思いますが、着実に一歩一歩進めていくことで多くの患者の治療の選択肢が増えていくように医療従事者になるものとして、私も精進していきたいです。薬剤師として、患者のためにできることを考え、積極的に行動に移す姿を見習いたいと思います。
⑩今回の研修は、ちょうど研修の日に入江徹美先生の研究室の面談を受けていた時に、入江先生から参加してみないか、といわれて参加してみたのですが、面談が今日でよかったと思いました。なぜなら、がんの治療法についての知識を広げることができたからです。がんの治療法について、大学入学前は手術や抗がん剤治療しか知らず、そして大学に入学し、免疫学等を学んだことで免疫療法や免疫チェックポイント阻害剤などを学び、個人的にはがんの治療法について知り尽くしたような気になっていました。まさか私の出身地(鹿児島県出身です)で、陽子線、という今まで聞いたことのないものを使った治療が行われているとはみじんも知らなかったため、今回の研修は驚きの連続でした。今回の研修で最も印象に残ったことは、陽子線の性質です。レントゲンのX線は人体を透過するほどの力があることは知っていました。しかし、陽子線はあるピーク時にエネルギーが最大になり、そのあとはガタッとエネルギーが0に近づく、今まで見たことがないエネルギーのグラフで、グラフを見て衝撃を受けました。
今回の研修を受けてがんの治療法についての知識が増えましたが、もし私ががんになった時に知識が多ければ多いほど自分に合った治療法の選択が可能になるので、参加してよかったと感じました。
メディポリスの施設の説明に関しては、鹿児島本土では一番のリゾート地であろう指宿で温泉やゴルフ等を楽しみながら治療を受けられるのは、病院でずっとベッドで横になっているより何倍も精神的に楽で、「病は気から」というように心理状態も相まって治療が成功するのではないか、と個人的に思いました。保険適用でも私からすればかなり治療費が高い、と感じますが、隣にホテルがあったり温泉に入れたり、買い物戦隊のシステムがあったりと、様々なサービスがあるなら妥当な治療費だと思いました。

メディポリス研修①

メディポリス研修②