【報告】岐阜薬科大学 新しい緩和医療を体験学習する~リボーン洞戸における宿泊研修~
2020.02.18
【日程】
2020年2月18日~2月20日
【研修先】
リボーン洞戸 岐阜県関市洞戸大野 939
【参加者】
岐阜薬科大学 教員2名、学生5名(5年生)
岡山大学薬学部 学生2名(4年生)
【概要】
国立がん研究センターによると、日本でのがんによる死亡者数は第1位で、約3人に1人が亡くなっており、年間で見ると約35万人にのぼる。がんの代表的な治療方法には、手術(外科治療)、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療の三大標準治療に加え、免疫治療、温熱療法、代替医療(補完医療ともいう健康食品やサプリメント)なども存在する。また、がんの三大標準治療以外の治療法や代替医療にも目を向けることによって、より多くのがん治療を選択することが可能になる。日本は2025年には超高齢化社会により、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されており、がん患者でも病院での看取りが困難となり、地域包括ケアシステムの確立が急務とされている。そこで、リボーン洞戸において、免疫力を上げ、がんを予防するための生活習慣 「リボーン5か条」を体験することにより、これからの新しい緩和医療について学習することを目的とする。
研修内容:令和2年2月18日
13時:洞戸リボーンにチェックイン
13時30分:船戸崇史医師 講義
16時以降:生活習慣 「リボーン5か条」の体験 その①(夕食含む)
令和2年2月19日
7時~13時:生活習慣 「リボーン5か条」の体験 その②(朝食・昼食含む)
13時~15時:リボーンギフトカフェ(がんサバイバーとのつどい)
15時以降:生活習慣 「リボーン5か条」の体験 その③(夕食含む)
令和2年2月20日
7時~:生活習慣 「リボーン5か条」の体験 その④(朝食含む)
9時(チェックアウト)
【実施した感想】
①大学の講義では癌の標準治療については学習するが、補完代替医療については学習しない。今回の研修を通じて、学生は癌を治すための新しい選択肢について考えることができたと思う。リボーン洞戸の設立者で医師の船戸崇史医師から、癌に克つためには「がんの言い分を聴く」ことを通じて、自分自身と向き合っていくことや自分の生活を正していくことが大切であることを学ぶことができた。また、実際に癌を経験した2人の話を聞くことができ、リボーン5か条の実践で寛解や延命をしており、病気に打ち克つためには、精神面についても重要であることを学習することができた。標準治療ともうひとつの治療として選択枝があることについて理解することができた。
また、岐阜薬科大学と岡山大学との学生と教員とスタッフの方々と寝食を共にした2泊3日リボーン洞戸で宿泊研修することにより、お互いに意見など述べることができコミュ二二ケートできた。
②自分に無理を課して押さえつけて生きてきた結果ががん罹患である。よって、本来の自分を取り戻せばがんは無くなる。このような理念・信条のもと、がんにならない生き方を体験してもらうために本施設を作られたとのこと。文献や船戸医師ご本人の体験、研究が基礎になっている。全国津々浦々から外来や療養に来ていると聞いて驚いた。リボーン5か条体験には食事も含まれており、野菜中心で調味料も工夫された手作り料理を施設にいる全員で一緒に食べることで、おだやかな時間を過ごすことができるようになっていると感じた。まだがんに罹患していない我々が、緩解した方と治療中の方の生の声を聞く貴重な機会となった。今回の研修により、自分の生き方について向き合うことができた。健康体でいることで仕事が続けられ、社会に貢献できるため、がん予防の考え方は我々にとっても重要である。薬剤師を目指す学生には非常に有意義であったと思われる。将来の活躍に期待したい。
スタッフの方々も明るく穏やかで、建物も木と和紙がふんだんに使われて明るくあたたかく、船戸医師の理念がとても伝わる施設であった。
【参加学生の感想】
①この2泊3日の経験を通して、一番印象に残った言葉は「がん=自分 そしてまた、がん=ギフト」という言葉です。私は、今までがんというものは悪者と決めつけてきました。親戚の方がなればつらいし、自分がかかったとしてもすぐに死に連れていく嫌な奴だと思っていました。しかし、実際はそうではなくがんというのは自分を映す鏡といったように自分の生活の仕方によって現れ、また神様があなたは、この試練を乗り越えられると思いくださるギフトであるということを聞き、衝撃を受けました。まったく自分の考えとは反対で、初めは本当かと疑っている自分もいました。ですが、がんサバイバーの方や一緒に宿泊していた方々のお話や笑顔を見ていると、本当にこの言葉は正しいのかもしれないと実感することができました。今後、薬剤師になり、いろんな場面に直面すると思いますが、ただ治療という面にとらわれず、今回体験したリボーン5か条(生活習慣)といった今まで考えてこられなかった違ったアプローチについても伝え、患者さんにとって一番望む「命の選択」をしてもらえるように努めていきたいと思いました。
② リボーン洞戸滞在により、野菜中心の食事や温かいお風呂、ヨガや瞑想を通して免疫力を高める生活を実感することができました。船戸先生のお話や、がん経験者の方々のお話を聞いて、患者自身が治療方法を選択できることの安心感や、患者さんの病気を治すために医療人として関わるための信頼感を得られるようにする必要があると思いました。具体的には、目を見て話を聞く、患者の意見を否定しないなど傾聴の姿勢が非常に重要であると感じました。船戸先生もご参考にされているケリーターナー氏の「がんが自然に治る生き方」にもあるように、「自分の魂と深くつながる」など精神的なサポートが現在の医療では不足しているように感じます。患者さんが安心して治療を任せられるような、精神的に不安を少しでも取り除ける薬剤師になりたいと思うことができました。
③今回1番印象に残ったのは、標準治療を行わずにリボーン5カ条やその他の補完代替医療を実践して、ステージⅣの患者さんが寛解と言われる段階まで病気が治ったというお話しを聞いたことである。今まで学校で習ってきたのは標準治療が主だったので、そんな選択肢があることを知り衝撃を受けた。日々の生活を丁寧にゆったりと暮らし、心の余裕を持つことがなかなかできない生活をしているが、今回体験したことやお話しを聞いた中ででてきた良眠、良食、加温、運動、微笑や自分を大切にすることなどを心がけていきたいと感じた。また実際にがんを経験した方やリボーン洞戸で働いているスタッフの方とともに生活をしていく中で、がん経験者の方とスタッフの方との触れ合いを見ることができたので、将来薬剤師として働く際に、今回の経験を活かして私も患者さんに寄り添えるようになりたいと感じた。
④ 今回の2泊3日の宿泊研修を通して、健康に過ごすためのリボーン5か条(睡眠、食事、加温、運動、笑い)の大切さを身をもって感じることができた。今まで、がんはとても怖いものであり標準治療によりさらにつらくなっていく方も多いイメージをもっていたが、リボーン洞戸での自然治癒力の考え方を聞いて、がんへの向き合い方は様々なのだと感じた。
また、船戸院長先生やがん経験者のお話を聞いて、がんになったことで自分の人生を転換させたり過去の自分を労う気持ちをもてたりすることができた患者さんが多数いることを知った。人生において大きな病気や怪我をすると逆境に感じてしまう人が多いが、リボーン洞戸のようにその逆境を好転させるきっかけになる場所があるというのは素敵なことだと思った。自分も将来薬剤師として働くとき、今回の経験を糧にし、誰かの救いになれるような存在になりたいと思った。
⑤リボーン体験をされた方が、どうしてリボーンを選んだのかという理由をお話された際、現状スタンダードとされる治療法では治らないと言われた時のお気持ちやその際の医師からの言葉等をきいて、患者さんへの寄り添い方を非常に考えさせられました。今後薬剤師になる上で、患者さんの普段の生活の相談にまで乗れるようになれば、患者さんのストレスの軽減に役に立てるのではないかと思いました。治療法を選択するのは患者さんなので、その選択肢を出来るだけ多く提供し、患者さんが納得して治療を受ける事が重要だと思いました。
また、出来るだけ砂糖を使っていない食事を頂いて、ほとんど味噌しか使っていないにも関わらず、とても美味しく、しっかりと味付けが出来ていることに驚きました。
自宅でやるのは難しいところもあったのですが、少しでもリボーン洞戸での生活を日常の生活にも取り入れていきたいです。
⑥ 大学の講義では癌の標準治療については学んできたが、補完代替医療については学んでこなかった。今回の研修を通じて、癌を治すための新しい選択肢について考えることができた。癌に克つためには「がんの言い分を聴く」ことを通じて、自分自身と向き合っていくことや自分の生活を正していくことが大切であると分かった。実際に癌を経験した2人のお話を聞くことができたが、2人とも共通して考え方が前向きで今を生きていると感じた。また、病気に打ち克つためには、精神面がかなり重要であるということを理解することができた。今後、医療従事者として働く際には、治療に関わるのは勿論のこと、患者さんの精神面にも寄り添っていけるような薬剤師になりたいと思った。
今回の研修で実際に体験した5か条を出来る限り自分の生活に取り入れたいと感じた。また、家族や友人にも今回学んだことを共有しようと思う。